約 3,386,126 件
https://w.atwiki.jp/dope-girls/pages/7.html
アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/2041.html
Part74-21-27 0021RiverCityGirls22023/07/07(金) 18 55 53.76ID rlEa7XJz0 ヤクザの三和会が女子高生二人にボコられた。という話(前作)はあっという間に広まった。 刑務所でその報告を受けた組長のサブは壁を破壊し脱獄、街の支配に直接動き出す。 そして手始めに学校を占領しミサコ達を退学にした。ちなみにキョウコは、実はミサコにくっついて登校してるだけの部外者だった。 とりあえず家でゲームする事にした二人、そして2ヶ月が経過した。 0022RiverCityGirls22023/07/07(金) 19 12 48.94ID rlEa7XJz0 * 今作は初期からクニオとリキが使用可能で一応4人で行動開始した事になってる。到底そうは見えないが。 新作のゲーム買おうとモールに向かい、ついでに映画館に寄ると2ヶ月前に退学を言い渡して来た男、ケンと遭遇。 彼はサブコの義弟であり、お前らを倒せば俺は姉より上って事だ。と戦いになる。 負けて銃を持ち出すケン。(戦闘中から乱射しまくってたが) しかし何者かの投げナイフに銃を弾かれ撤退する。 ナイフに付いてた手紙に書かれた所に行くたサブコが現れた。 彼女は二人に負けた事に対し何の慰めも無い父、延々煽り馬鹿にしてくる弟。に痛い目あわせたいから協力する。と言い、 現在の三和会タワーに入るには取引先が持ってるエンブレムが三つ必要な事と、銀行でマネロンしてるから妨害する様に言って去って行った。 0023RiverCityGirls22023/07/07(金) 19 30 14.02ID rlEa7XJz0 銀行でヤクザをぶっ飛ばした後、情報を求めてアップタウンorダウンタウンに向かう。(同時進行可) ダウンタウンルート 街全体が停電してるので、発電機をレンチで叩いて直し探索してるとアボボと遭遇した。 彼によると昔よく誘拐した女が強くなって、ヤクザを引き連れこの辺りのボスに収まったとの事。 その女性、マリアン(ダブルドラゴンのヒロイン。毎回誘拐されるのが嫌になって鍛えたらしい) と地下鉄で遭遇するが明らかに様子がおかしかった。 倒すと正気に戻ったので彼女を仲間に加え、彼女が意識を失ったというフラットアイアンズに向かう。 無限ループする森等を抜け魔法使いと名乗るブレアを倒す。彼女はケンから依頼されてマリアンを洗脳した事を自白し、 他の顧客とのトラブルも起こすからもう取引する気は無い。と、三和会のエンブレムを渡してきた。 0024RiverCityGirls22023/07/07(金) 19 43 54.41ID rlEa7XJz0 アップタウンルート 情報を求めてダンスクラブに向かうが、入口でダンス出来ない奴は立ち入り禁止。 ゲーセンのダンスゲームで高得点取れば踊れると認める。と言われゲーセンに向かう。 ゲーセンもヤクザに占領されてて手間取ったが、無事クラブに入れた。 そこでヤクザ相手に暴れてるプルーヴィにヤクザの仲間と思われ戦いに、 誤解は解け彼女も仲間になるが連絡先登録しようとした際、自身のSNSが荒らされてるのに気付く。 テクノスの技術者がヤクザに反抗する者達のSNSを荒らしてる事を教えられテクノスに向かう。 テクノスに居たサブコに社内中枢に入る方法を教えてもらい、荒らしの犯人ツイコを倒しエンブレムを入手する。 0025RiverCityGirls22023/07/07(金) 20 01 19.82ID rlEa7XJz0 エンブレムを持つ取引先である料理人プリモ。に会おうとするが店に入れてもらえない。 ヒバリにブレアとツイコに成り済ます衣装を作ってもらい、店に入るがあっさりばれて戦いになり倒す。 彼からヤクザに洗脳効果の有る料理を依頼され、それが学校に運ばれた事を聞き急ぎ学校に向かう。 何人かは既に食べてしまった様だがケンを倒し学校を解放する。 学校から出るとサブコが現れ、お前らの友人達に爆弾を仕掛けた。と言う。 彼女は、ミサコ達はどうせ父サブには勝てないだろうしケンには痛い目みせたから満足。 だから今度はミサコ達を妨害する事にしたとの事。 各地で爆弾を解除して友人?達を助け三和会タワーに向かい、 和解しヘリに乗って攻撃してくるサブコとケンを撃退する。 0026RiverCityGirls22023/07/07(金) 20 14 53.44ID rlEa7XJz0 三和会タワーを前回とは逆に地下に降りて行きサブの前にたどり着く。 謎の装置で自身を強化し襲ってくるサブを倒し、止めに六人全員で一斉に殴り飛ばす。 サブはタワーの天井を突き破り続け、最後は上空に退避していたサブコとケンの乗ったヘリに激突。ヘリは爆散、親子三人まとめて墜落した。 帰って六人でゲームしたりスマホ弄ったりしてるとハセベとマミが来た。(松葉杖やギブス付いてるが前作の裏ボス戦の怪我?) 何か面白い事になってるそうだから来た。と言う二人に、もう終わった。と告げたのだった。 終わり 0027ゲーム好き名無しさん2023/07/07(金) 20 22 13.67ID rlEa7XJz0以上、今回は裏ボス等は無いようで 引き継ぎも一週目→二週目は有るけど三週目への引き継ぎは無いそうです。 個人的に本作は、ボスがアクションというよりシューティングみたいな攻撃してくるのが多いのが不満点でした。
https://w.atwiki.jp/gotham/pages/24.html
◇◇◇◇ ―――――――前川みくにゃ!高校一年、15歳にゃ! 前川みく、大阪出身。 15歳の高校一年生。 普通の少女だった彼女は、アイドルの世界へと飛び込んだ。 ―――――――みくはいつでもお仕事ウェルカムにゃ! 始まりは穏やかなものだった。 テレビで見た輝かしい舞台を夢見て。 華やかな世界を夢見て。 舞踏会へと導かれるシンデレラになれると信じて。 夢を叶えるべく、彼女は無心で努力を積み重ねた。 黙々と繰り返されるレッスン。 人気アイドルの影でのお手伝い。 地道な裏方の仕事。 憧れてきた輝きには程遠い道筋を歩み続けた。 どれだけ些細な仕事であろうと、彼女は耐え続けた。 積み重ねの果てに、自分もアイドルとして輝けることを信じて。 そんな中、同じプロジェクトの新入り三人のデビューが決定した。 有名なアイドルのバックダンサーとしての大抜擢だったという。 それを聞いた時、正直に白状すれば嫉妬していた。 何で遅れてきたこの子たちが先に舞台の上に立つのだろうか。 偶々先輩の目に留まっただけじゃないのか。 苛立ちと焦りの混ざった感情が渦巻く中で、少女は三人の初舞台へと足を運んだ。 なんて、綺麗なんだろう。 彼女達の舞台を見て、率直にそう思った。 所詮は人気アイドルのバックダンサーに過ぎない。 それでも、キラキラしたステージの上で三人は輝いていた。 未だに到達出来ない舞踏会を目の当たりにし、ただただ圧倒されることしか出来なかった。 自分もいつか、あんな舞台の上に立てるのだろうか。 そんな淡い希望は、いつしか更なる焦燥へと変わり始めていた。 それでも彼女は忍耐し続けていた。 自分の晴れ舞台がいずれ訪れることを夢見て、必死に我慢し続けてきた。 ―――――――あの三人みたいに、いつかすっごくかわいい衣装着て、すっごく綺麗になって、すっごくキラキラしたステージに立って…! 未来への期待を糧に、彼女は耐えてきた。 それなのに。 お城での舞踏会は一向に開かれず。 同期の二人のアイドルのCDデビューが先に決まり。 そして、あの三人の正式な晴れ舞台も決定して。 ―――――――ねえ、プロデューサー。 ―――――――みくは、いつデビューできるの? 胸の内に抱いた疑念は、彼女の時計の針を狂わせることになる。 遅れてきた新入りの三人にデビューで先を越され。 同期の二人にも遅れを取り。 プロデューサーに問いただしても、「企画検討中」の一言で流されるのみ。 いつになったらシンデレラになれるのだろうか。 いつになったら自分はお城へと辿り着けるのだろう。 このままずっと待ち続けていれば、いずれアイドルとして輝けるのだろうか。 いつまで、待ち続ければいい? 何故自分は、こんなことをしているのだろう。 こんなことをする為に、自分はこの世界に来たんじゃない。 疑念に囚われた彼女は己の夢を見失った。 自分が履くことの出来る硝子の靴など、存在しないのではないのか。 結局、自分は輝きの向こう側へ行くことは出来ないのではないか。 胸の内で膨れ上がる不安と焦燥が、彼女を導いたのだろう。 ――――――みくだって、『アイドル』になりたい! 前川みくは、気付かなかった。 己が既に魔法に掛けられているということに。 己が灰被りの少女のままであると、思い込んでしまった。 ちっぽけな未来を求めてしまったが故に、少女は誘われる。 ◇◇◇◇ 前川みくはアイドルだった。 高い向上心。確固たる志。仕事への真摯な姿勢。 駆け出しのアイドルとして優秀な素質を備えていた。 同時に、どうしようもなく普通の少女でもあった。 焦燥と対抗心で不安に駆られ。 己の夢への疑念に怯え。 未知の世界への恐怖に苛まれ。 隣り合わせとなった『死』に多大なる恐怖を覚える。 彼女はシンデレラを夢見るアイドルであり、そして何処にでも居る15歳のあどけない少女だった。 願いの為に他者を騙し、蹴落とし、殺し、勝ち残る。 それが『聖杯戦争』。たった一つの奇跡を求めて争う――――――殺し合い。 暴力とは無縁の世界で生きてきた彼女にとって、余りにも酷な状況と言えるだろう。 だが、彼女はこの世界に誘われてしまった。 いつ手にしたのかも解らない陶器人形、シャブティによって導かれてしまった。 悪徳と退廃が支配する衆愚の街に、輝く夢を見続けた少女は迷い込んでしまったのだ。 「ひっ―――――」 アパートの一室にて、みくが怯えるように声を上げる。 壁に寄りかかるように尻餅を突いていた彼女の瞳に恐怖の色が浮かぶ。 自然と身体が震えていた。 頭の中が雁字搦めになって、酷く混乱していた。 何。何なの。何が起こってるの? これって、夢じゃないの―――――――――? 現実と空想の区別が曖昧になりつつあった少女は、ようやく明確な認識を始める。 ゴッサムシティ。聖杯戦争。マスターとサーヴァント。右手の令呪。 そして、殺し合い。 悪い夢か何かだと思っていた。空想に過ぎないと思っていた。 また眠りに着けば、いつも通り女子寮での朝がやってくると思い込んでいた。 だが、そんな淡い希望は容易く砕け散った。 これは、現実だ。 夢なんかじゃない。 全て本当なんだ。 あの人形を媒体とした召還は滞りなく行われた。 みくの意思ではなく、それは突然始まったのだ。 そうして目の前に現れた『怪物』との出会いで、全てを確信した。 「問おう」 恐怖に戦く少女の視線の先に立つのは、一騎の従者(サーヴァント)。 2mを超す威圧的な巨躯。 焔の様な真紅の長髪。 獰猛な鉤爪、しなやかな尻尾。 機械を連想させる異形の容貌。 それは人間とは余りにも掛け離れた《怪物》。 あらゆる者に無慈悲な死を振りまく《兵器》。 その姿は少女の恐怖を煽るのには十分なものだった。 魔術も異能も知らぬ少女にとっての理解の範疇を越えた、言わば異形の怪物なのだから。 瞼に涙を貯め、恐怖で怯える少女を怪物は無言で見下し続ける。 「貴様が、私のマスターか――――――――――」 巨躯の怪物、アーチャーは目の前の少女(マスター)に問うた。 震え続けるみくは、ただ無言で頷くことしか出来なかった。 ◇◇◇◇ あの出会いから幾許かの時が流れた。 学校の制服を身に纏ったみくは玄関の扉を閉める。 授業が終わり、足早に自宅へと下校したのだ。 「ただいま」 小さく呟いた帰宅の知らせに対する返答は帰ってこない。 このアパートの部屋でみくは一人暮らしをしていたのだから、当然と言えば当然だった。 自身を暖かく迎えてくれる両親はいない。 寮のように一緒に食事を取れる友達もいない。 普通の少女としての生活とも、アイドルとしての生活とも違う環境。 そんな日常が当たり前になっている。 脱いだ靴をきっちりと揃え、そそくさと自室へと入る。 勉強机、クローゼット、ベッド等が並ぶ質素な部屋。 机の上には申し分程度に猫の人形が飾られている。 本来のものとは違う内装ではあるが、みくの自室であることに変わりはない。 それなのに、落ち着くことが出来なかった。 みくは自室に対する安らぎを感じることが出来なかった。 この生活も、日常さえも、偽りであることを理解してしまっているのだから。 「…はぁ」 そのまま制服を脱ぐことも無く、彼女はその身をベッドに委ねた。 仰向けで天井をぼんやりと眺めて、みくは窶れた表情を浮かべる。 町中に溢れる英語の文字は何故か理解することが出来る。 この街がゴッサムシティであるということも始めから知っていた。 ゴッサムシティは治安の悪さで有名なことも認知していた。 浮浪者を遠目で見かけたことが何度もある。 恵まれた富豪が裕福な暮らしを謳歌する中で、貧しさに苦しむ者達は当たり前のように存在する。 新聞の一面は凶悪犯罪の記事ばかり。 穏やかな日常の裏は、悪徳と堕落で塗り固められている。 そして、ゴッサムシティは聖杯戦争―――――殺し合いという惨劇の舞台として存在する。 「何で、こんなことに…」 みくはこの街が気持ち悪くて仕方無かった。 ゴッサムシティという世界に対する嫌悪感しか覚えられなかった。 あのステージとは掛け離れた惨劇の舞台で。 憧れ続けた、キラキラした輝きは何処にもなくて。 日常すらも全て嘘でしかなくて。 怖い。嫌だ。帰りたい。みんなの下へ。 嘘で充満した偽りの世界から抜け出す為には、どうすればいいのか。 みんなを、殺さなくちゃいけない。 他の参加者を倒さなければならない。 「何で…………」 これは殺し合いなのだから、当然だ。 しかも生き残れるだけではなく、最後の一組になれば自らの願いも叶う。 そうすればアイドルとしての輝きを、今度こそ手に入れることが出来るのだろう。 そんなことは解っている。 だけど、怖くて仕方が無い。 ゴッサムという街そのものが、自分の為に人殺しをすることが、負ければ永遠に此処に閉じ込められるということが、下手をすれば命を落としてしまうという事実が。 何もかもが――――――恐怖でしかない。 「………いや、だよ…………死にたくない………殺したくない………!」 独り言のように、泣き言を漏らす。 それを言葉にした瞬間、瞳から静かに透明な雫が溢れ出た。 どうすればいいのか解らない。 帰りたい。生きたい。死にたくない。殺したくない。 胸の内で感情が渦巻く。 恐怖と不安に駆られ、咽び泣くことしか出来なかった。 「――――――まだ、怯えているのか」 唐突にみくの耳に入ったのは低く響く声。 びくりと怯えるように一瞬震え、身体を忙しなく起こす。 そのままみくは恐る恐る声が聞こえた方向へと顔を向けた。 「安心しろ。手を下すのは、私だ」 直後、みくの部屋に実体化して姿を現したのは――――異形の怪物。 マスターとなった前川みくの従者である《アーチャー》のサーヴァント。 彼女は泣き言を吐き出すマスターに対し、きっぱりとそう答えた。 「アー………チャー」 「私は人を殺す為に生み出された兵器だ」 みくは目の前に立つアーチャーを見上げる。 涙で目元は赤くなり、その表情もまた強張っている。 人ならざる者であるアーチャーへの恐怖感は抜け切っていない。 しかし、それでもみくはアーチャーを見据える。 己の従者が静かに紡ぎ出した言葉を聞き取り始めた。 「そういった役割を担うことには慣れている……そして今の私は、戦う為に在る。 マスター、貴様が迷い続ける必要は無い。ただ私に指示だけをすればいい」 淡々と紡がれるアーチャーの言葉。 自らが兵器であったからこそ、人を殺す役割に躊躇いを持たない。 故に彼女は、殺戮の指示を待つ。 「―――――――他のサーヴァントを、マスターを殺せと」 みくの背筋にゾクリと悪寒が走る。 ただ殺せと、指示をすればいい。 そうすれば自分は生きていられるし、願いだって叶えることが出来る。 兵器だからこそ、彼女はきっぱりと言い切れるのだろう。 しかし、みくは違う。 殺戮と闘争を繰り返したアーチャーとは違う。 両親の愛を受け、健やかに成長し、アイドルという輝かしい夢を見てきた普通の少女だ。 殺す、殺されるという世界など知る由も無い。 ましてや突然殺し合いに巻き込まれ、覚悟を問われた所で、何も出来ることはない。 「………みくは、死にたくない………皆の所に帰りたい………… でも………殺すのも……いやだよ………それに、アーチャーだって…………っ!」 弱々しくか細い声で、みくは告げる。 アーチャーに指示をすれば、彼女が全てを担ってくれる。 だが、指示をした時点でそれはみくの意思となる。 そうなればみくが他者を殺したも同然となるだろう。 それに――――――例え自分が傷付かずとも、アーチャーは戦うことになる。 自分がのうのうと隠れている中、アーチャーだけが一人で傷付くことになる。 みくは心優しい少女だった。 だからこそ自らの為にアーチャーへと全てを押し付けることを躊躇っていた。 殺したくない。 アーチャーだけを傷付けさせたくない。 だけど、死にたくもない。 そんな曖昧で、優柔不断な想いが今のみくの答えだった。 「…………」 袋小路で彷徨う様に迷い続けるみくを、アーチャーは無言で見下ろす。 その瞳に浮かぶのは、予想通りと言わんばかりの諦めに似た感情。 そして、脆弱な少女に対する哀れみ。 涙を溢れさせるみくに対し、アーチャーは再び言葉を紡ぐ。 「私にも、譲れぬものがある。貴様と同じように、己の為に戦う意義がある。 故にこの戦いに勝たなくてはならない―――――――――絶対にだ」 ただ涙を流すのみのみくを真っ直ぐに見据え、アーチャーは言い切る。 己の願いの為に戦う覚悟を、はっきりと宣言した。 みくは涙で濡らした目線を再びアーチャーへと向ける。 その言葉を前に、その金色の瞳を前に、みくは何も言えなかった。 否、何か言おうとしてもそれが言葉にはならなかった。 「あの………その……………」 「貴様に戦う覚悟が出来ずとも……はっきり言って、私は構わない。 ただ私の意思で戦うだけだ。だが、貴様が私のマスターであるという事実に変わりはない。 幾ら現実から逃避しようと、貴様は既に盤上に立たされている……それだけは決して忘れるな」 アーチャーはみくに対し突き放すように、だが忠告するように言う。 マスターに指示を仰いだが、実際の所彼女の指示を聞くまでもなく戦うつもりだった。 アーチャーはただマスターの覚悟を、意思を試しただけ。 故に彼女の答えがどうであろうと戦うことに変わりはない。 そして、マスターから返ってきた答えは酷く曖昧なもの。 「…………うん……」 みくは静かに頷くも、自らの従者の言葉を受け入れ切れない様子で膝を抱きかかえる。 マスターのか細い返答を聞き入れ、アーチャーはゆっくりと背を向ける。 前川みくは現状に怯え続けている。 まず殺し合いに耐え切れる人間ではないだろう。 故に彼女への過度な期待はしない。 裏切るつもりは無い。利用するか処分するか、過去のアーチャーはそういった人間の利己的な算段に叛逆をしたのだから。 だが、信頼もしない。 余りにも無力な少女に対して、必要以上の要求をするつもりは無い。 ただ自分の為に生きてくれればいい。 そう思っていた。 ――――――――みくは、死にたくない………皆の所に帰りたい………… アーチャーの脳裏に、先程のみくの言葉が過る。 目の前で怯え続けるだけのマスター、前川みく。 彼女は自分とは違う。 奇跡に縋らずとも帰る場所がある。 死に怯え、戦いに怯えることが出来る。 それだけ彼女は戦場を、闘争を知らないということだ。 戦火の渦中を駆け抜けてきた自分と違い、日向の世界で暮らしていたのだろう。 穏やかな日常という、暖かな世界の下で生きていたのだろう。 それはかつての自分が数多く踏み躙ってきた、ささやかな平穏。 傲慢な願いを抱くことでしかそれらを得られない自分とは違う。 前川みくは、紛う事無き『日常』の人間だ。 「…………やはり貴様は、私とは違うな」 アーチャーの口から小さく言葉が漏れる。 みくは呆気に取られた様に、霊体化しつつあるアーチャーを見つめた。 その声色から感じ取れたのは、一抹の憧れのようなものだった。 ◇◇◇◇ 彼女は、兵器だった。 人間を殺す為に、人間の手によって人間を素体に生み出された。 彼女は己の存在意義を問いただした。 兵器として利用されるか、処分されるか。 ただそれだけの意義で誕生した彼女は、己の宿命に抗った。 全ての同胞を率い、自らを想像した人類への叛逆を決意した。 ――――――人類完殺、それが絶対無二の使命 ――――――私にとって、唯一つの『正義』だ 彼女は、人間の支配から逃れるべく戦った。 破壊神と畏れられる程に戦い続け、人類を抹殺し続けた。 兵器である彼女は、化物である彼女は。 人間を殺すことを、自らの生きる縁と定義した。 それこそが、己の『正義』であると信じた。 そう信じて生きてきた彼女は、死んだ。 最期の敵は、自身と同じ兵器として改造された男――――ソル・バッドガイだった。 彼は兵器の身でありながら人類に加担し、自らを滅ぼすべく戦いを挑んできた。 どれほどの時間を費やしたのかも解らない程に熾烈な死闘を繰り広げ。 最強最悪の兵器と称された彼女は、敗北した。 彼女が死に際に思い出したのはかつての記憶だった。 自らが人であった頃の、暖かな思い出だった。 親しい二人の同僚との穏やかな語らい。 科学者であった自分にとっての心安らぐ時間。 今際の時に、彼女はようやく過去を取り戻した。 自身を滅ぼした男、ソル・バッドガイは。 自身が人間であった頃に親しかった科学者―――――フレデリックであるということを、思い出したのだ。 ―――――――ソル……また……語り合おう……三人で……な…… それが『人類最悪の敵』と称された彼女の死だった。 同時に兵器としての彼女もまた、あの瞬間に消滅した。 人としての記憶を取り戻した時点で、彼女は最早兵器ではなくなったのだから。 自らがまだ人だった頃の遠き思い出が鮮明に蘇る。 あの死の瞬間に思い出した、穏やかな日常。 『フレデリック』『――――――』。 彼ら二人と過ごした平穏な時間。 兵器としての死の間際に思い出した、掛け替えの無い日常。 余りにも傲慢な願いだと言うことは自覚している。 多くの人間を踏み躙ってきた自分には過ぎた祈りであるということは理解している。 だからこそ、奇跡に縋ることを選んだのだ。 たった少しでも構わない。 もう一度だけ、人としてあの時を取り戻したい。 あの時の様に、三人で語らいたい。 また、穏やかな時の中で――――――静かに語り合いたい。 『ああ。その為ならば―――――――』 もう一度だけ、《兵器》として蘇ろう。 全てを焼き付くし、灰燼へと葬る《怪物》になろう。 人としての些細な日常を再び手に入れる為に、彼女は殺戮の兵器へと戻る。 何とも滑稽で可笑しな話だった。 しかし、彼女はそれしか手段を知らなかった。 暴力と殺戮の世界に君臨した彼女は、戦う以外の手段を見つけられなかった。 故に彼女はサーヴァントとして召還に応じる。 ちっぽけな過去を望んだことで、彼女は誘われた。 彼女の名はジャスティス。 破壊神と畏れられた、人類史上最悪の叛逆者だった。 【クラス】 アーチャー 【真名】 ジャスティス@GUILTY GEAR 【属性】 混沌・中庸 【パラメータ】 筋力A 耐久A+ 敏捷B+ 魔力D 幸運C 宝具A 【クラス別スキル】 対魔力:B 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。 単独行動:D マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 Dランクならばマスターを失っても半日程度現界可能。 【固有スキル】 破壊神:EX 兵器でありながら創造主たる人類に反旗を覆した存在。 自我を覚醒させた彼女は生物兵器『ギア』の存在意義を提唱し、聖戦を引き起こした。 アーチャーは個人としての意志を一切顧みられぬまま、人類の敵として未来永劫畏れられ続けることになる。 戦闘続行:A ギアとしての脅威的な生命力。 瀕死の傷であっても戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り戦い続ける。 魔力放出:B 魔力によるジェット噴射。 背中に装備されたブースターから魔力を放出し、瞬間的に機動力を倍増させる。 魔力消費が高く、燃費は悪い。 【宝具】 『背徳の王(ギルティギア)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 人類が生み出した『背徳の兵器』。 生物にギア細胞を移植することで生み出される生態兵器『ギア』としての肉体そのもの。 生身の肉体と全身を覆う強化外骨格の両方を含めて『宝具』として扱われる。 アーチャーは全てのギアの頂点に立つ存在―――――完成型ギア壱号機である。 ギアの特性として、並の生物を凌駕する生命力と身体能力を備える。 更にアーチャーはブレード、炸裂弾、レーザービーム等、強化外骨格に数々の武装を備える。 『叛逆の王(ギルティギア)』 ランク:A 種別:対人類宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 人類が生み出した『全人類への叛逆者』。 人類を滅ぼす破壊神として恐れられた逸話の具現。 敵サーヴァントが『人間』であった場合、対象の全パラメータを強制的に1ランクダウンさせる。 更に対象が人間ならばマスター・サーヴァント問わず威圧によるバッドステータスを与え、あらゆる判定におけるファンブルの確率を上昇させる。 ただし出自を問わず『人外』のサーヴァントには一切効果を発揮しない。 『破滅の咆哮(ガンマレイ)』 ランク:D++ 種別:対城宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000 両肩に仕込まれた砲身より大火力の巨大光線を放つ。 特殊な効果こそ持たぬものの、純粋に凄まじい破壊力・射程距離を誇る。 単純明快、故に強力無比な必殺宝具。 ただし発動には膨大な魔力を必要とする。 【Weapon】 ギアとしての肉体。 強化外骨格に仕込まれた数々の武装(後述)。 『鉤爪』 鋭利な刃に似た爪。 ある程度の伸縮が可能であり、槍のような刺突武器として使える。 『ミカエルソード』 自らの腕を変形させた刀剣。 単純な白兵戦を行える他、中距離にも届く斬撃を放つことができる。 より多くの魔力を消費することで強力型の『ミカエルブレード』が生成可能。 『N.B.』 火球に似た炸裂弾を放つ。 物体に触れるかアーチャーの任意で起爆する。 それなりの威力を持ちながら魔力消費は然程高くなく、連続で放つことが可能。 『インペリアルレイ』 頭部から強力なレーザーを放つ。 高い威力と長射程を持ち、相手の防御に対しても有利な判定が得られる。 その分前述の武装と比較すると燃費は悪い。 【人物背景】 『あの男』によって創られた生物兵器「ギア」の完成型壱号機。 全てのギアを統率する能力と圧倒的な戦闘力を持つ最強最悪のギア。 人間の女性を素体に作られており、性別としては女性。 誕生して間もなく自我を確立させ、兵器でしかないギアの存在意義を提唱。 他のギアを率いて人類に反逆し、100年に渡る聖戦を引き起こした。 最終的にプロトタイプのギアであるソル・バッドガイと聖騎士団によって封印される。 その後配下であるテスタメントの手によって復活するも、ソルとの死闘の末に敗北。 過去の記憶を思い出し、ソルに「また三人で語り合おう」と言い残して死亡した。 「自分は人を殺すことだけを目的に人によって作られた兵器」と語っており、 人類を抹殺することを生きるよすがとしていたことを伺わせる。 人間だった頃はフレデリック(ソル)、『あの男』と親しい仲だった。 【サーヴァントとしての願い】 もう一度だけ、あの頃のように三人で語らいたい。 【方針】 聖杯を穫るべく戦う。マスターを護る。 マスターを裏切るつもりは無いが、期待もしない。 【マスター】 前川みく@アイドルマスター シンデレラガールズ(TVアニメ版) 【マスターとしての願い】 アイドルとして輝きたい? 【weapon】 なし 【能力・技能】 アイドルとしてのレッスンを行っている為、運動神経はいいかもしれない。 【人物背景】 346プロダクション主催の企画「シンデレラプロジェクト」の一員。 大阪出身の15歳。猫のような独特の口調で喋る新人アイドル。オーディションでアイドルになった模様。 努力家で明るい性格だが他者への対抗心が強く、内面では自身への劣等感を抱えている。 デビューにおいて他のアイドル達に遅れを取り、みくは次第に焦燥感を募らせていく。 そうしてみくはプロデューサーの真意に気付かぬまま、聖杯戦争へと召還される。 【方針】 どうしたらいいのか解らない。 死にたくないし殺したくもない。 アーチャーだけを傷付かせたくもない。
https://w.atwiki.jp/gotham/pages/39.html
息が乱れる。心臓は破裂しそうだ。 それでも男は一切構わず暗闇の路地を駆けていた。 男は中流階級の人間が住む地区を中心に活動するストリートギャングの一員だった。 銃の入手が容易なアメリカにあってもとりわけ治安の悪いゴッサムシティ。 そんな街で活動する彼の組織もまた当然のように複数人が銃を所持していた。 だが、あの緑の悪魔には彼らが普段振りかざす銃の威光も威力も何一つ通用しなかった。 そして男の組織は突然アジトに乗り込んできた緑の怪人の手によって瞬く間に壊滅させられた。 今でも自分が逃げ果せたという奇跡が信じられない。 「っ!?」 バイクの駆動音が耳に入った。 ただそれだけなのに身体の震えが止まらないのは何故だ。 疲弊した肉体に鞭打ち逃げるもバイクの速度に太刀打ちできるはずもない。 やがてこちらに向かって追突する勢いで迫りくる、緑の怪人が乗ったバイクが見えた。 「う、あああああ!?」 激突する寸前に左に転がって何とか生を拾った。 そして次の瞬間、緑の怪人が男の額に銃口を突きつけた。 さながら死神の鎌のようにも見えた。 「どこへ行こうっていうのかな?」 緑の怪人ことアーマードライダー龍玄は左手だけで男の身体を吊り上げ鳩尾に容赦のない膝蹴りを叩きこんだ。 手加減しているとはいえ約10トンもの威力の蹴りは容易に男の肋骨をへし折り吐瀉物を嘔吐させた。 さらに男の胸倉を掴んで地面に押し倒し左膝を粉砕骨折するほどの勢いで踏み抜いた。 「ぁぁああああああああああ!!!」 「黙ってろよクズ」 激痛に喚く男の口を塞ぎマウントポジションを取った。 男は涙を流しながら首を横に振ろうとするがガッチリと腕で固定されているためそれもままならない。 「僕からの要求は一つだ、二度とこの地区をうろつくな。 さもなければどんな手を使ってもお前達を一人残らず殺す、いいな?」 涙目でひたすら頷こうとする男の態度を了解と受け取ったか、手を離した後もう一度だけ蹴りを入れてバイクでその場を立ち去った。 ▲ 「舞さん、今日も何とか守りきれた……」 変身を解いた少年、呉島光実は物陰からダンスチームの仲間である少女が踊る姿を物陰から見守っていた。 聖杯戦争の舞台であるゴッサムシティの治安の悪さは当然光実も知悉しており、影から自分が所属するチーム、鎧武を守るために行動していた。 具体的にはチーム鎧武のメンバーが活動する地区の自警団活動兼武器調達である。 自宅のPCで闇サイトにわざとアクセスして近隣の犯罪組織に接近を図りアジトや構成員を潰して回っていた。 マスターとしてNPCの大量殺戮を行うことは許されていないため、病院送りや再起不能に留めるしかなかったが。 アーマードライダー龍玄の仮面を被って活動しているため当然光実の顔は割れていない。 「それにしても、何で次から次へと湧いて出てくるんだ…!」 だが光実の活動で犯罪が根絶されるほどゴッサムの闇は浅くない。 一つの組織が壊滅すれば空いた縄張りを求めて別のギャングやマフィアが入り込むからだ。 加えて近頃は龍玄を警戒されたか探りを入れることも難しくなりつつあった。 それに、さすがにそろそろ聖杯戦争を戦うマスターとしての本分に専念しなければならない。 (こんな時、紘汰さんがいてくれたら……いや、何を考えてるんだ僕は! 弱気になりすぎだ、少しでもあんな奴を頼ろうとするなんてどうかしている!) 一度深呼吸を行い、荒れた心を鎮めようと試みる。 元々図太くもなければ冷酷でもない性格の光実にとってゴッサムシティでの生活は多大なストレスとなっている。 もっとも光実自身それを自覚できるほど自己分析ができるわけでもないが。 以前アーチャーにも言われたが、チームメイトたちも所詮はNPCに過ぎないのだ。 万一のことがあっても、元の世界には何の影響もないはずだ。それは頭では理解している。 そもそも勝ち抜いて聖杯にさえ至れば全てを光実の思うようにできるのだから。 ――なのに、どうして胸騒ぎが治まらないんだろう? 考えすぎだ、と不安を心の奥に押しやる。 これはオーバーロードの圧倒的な力に反抗心を折られた光実に訪れた予期せぬ好機なのだ。 ユグドラシルタワーの執務室に置かれていた人形が切っ掛けなのだろうと参加した今ならわかる。 「そうさ、僕は必ず勝つ。勝って舞さんを幸せにするんだ! それができるのは紘汰さんじゃなく僕だけなんだから……」 ▲ 「何をやっているのかしらね、あの男は」 物陰から舞を見つめる光実の様子を、彼のサーヴァントたるアーチャーは近場のマンションの屋上から観察していた。 もちろん光実に任せられた仕事を終えてから主の後を追ってここに来ている。 アーチャーの持つ銃火器の数々は使用に魔力を要しない代わりに魔力による補充も一切できない仕様になっている。 そこでマフィアやギャングのアジトを光実が壊滅させアーチャーが後始末をしつつ銃器を回収するという作戦を取ったのだ。 かつて多くの銃火器を盗んで使用したアーチャーの逸話から現地調達した武器、道具はアーチャーが使えば最低限の神秘を与えることができる。 もっともこれまで入手できたのは安物の拳銃が大半でつい最近ようやくサイレンサー付きの銃が一丁手に入った程度だ。 「…いえ、私も人のことは言えないわね」 光実が見つめている女性が彼の執着の対象であることは明らかだ。 アーチャーとてかつては、いや今も一人の少女に対して執着しあらゆるものから彼女を守ろうとしている。 視野が狭く独善的で大切なたった一人の人間のためなら他の全てを切り捨てる。 それが呉島光実と暁美ほむらの正体だ。自覚しているか否かの違いはあるが。 ともあれ、光実の根底にあるものが自分と同じだというならその方がアーチャーにとってはやりやすい。 少なくとも変に倫理観や正義を振りかざされるよりはまだストレスにはならない。 「聖杯を手に入れれば、もう誰もあなたには触れさせない。待っていて、まどか」 【クラス】 アーチャー 【真名】 暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語 【パラメータ】 筋力:E 耐久:E敏捷:D 魔力:C 幸運:C 宝具:B 【属性】 秩序・悪 【クラス別スキル】 対魔力:D 魔術への耐性。一工程の魔術なら無効化できる、魔力避けのアミュレット程度のもの。 単独行動:C マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。マスターを失っても一日は現界可能。 【保有スキル】 道具作成:E 材料があれば爆薬の調合・爆弾の製作ができる。 アーチャーが作成した爆弾は他人が使ってもサーヴァントにダメージを与えられる。 自己暗示:E 自身にかける暗示。精神攻撃に対する耐性を上げるスキル。 ……が、アーチャーの場合どちらかと言うと自分に無理やり言い聞かせているといったほうが正しく、効果は低い。 【宝具】 『やり直しの願い(コネクト)』 ランク:C 種別:対界宝具 レンジ:なし 最大捕捉:1 かつての願いを元にした時間停止能力の発現。本来は砂時計の砂を傾ける事による能力。 アーチャーに触れている者に対しては時間停止が働かない。 本聖杯戦争では再現の都合上で単に魔力を消費するだけで使用できる宝具になっており魔力消費・持続力も悪化している。 マスターである光実から供給される魔力が少ないため戦闘の度に時間停止に頼ることは難しい。 それに伴い、時間遡行の能力は消滅した。 また、付随する能力として盾の中に色んなものを収納することが可能だが、サーヴァントである以上武器は自由に取り出せるので意味がない。 時間操作という魔法を操る対界宝具にも関わらずランクが低いのは元は一人の少女の願いから生まれた宝具であるため。 『穢された願い(まどか・マギカ)』 ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:なし 最大捕捉:1 鹿目まどかによって改変された世界での魔法少女・暁美ほむらの再現。 『やり直しの願い』との同時使用はできず、アーチャーはこの宝具と『やり直しの願い』の二つの形態を使い分けて戦うことになる。 改変以前の世界で鹿目まどかが使っていた弓矢を用いた戦い方に変化し、時間停止及び銃火器は使用できなくなる。 またこの形態でのみアーチャー本来の力を攻撃能力を持った黒翼という形で、ごく僅かながら行使できる。 神を穢しその手に収めた逸話から、黒翼による攻撃は神の恩寵を打ち破る。 【weapon】 「各種銃火器・爆弾」 かつてアーチャーが自作したり、自衛隊などの組織から盗んで使用していた武器の数々。 これらの使用に魔力消費は発生しないが、爆弾類を除き消費した銃火器・弾薬は現地調達しない限り二度と補充できない。 また、これら現代の兵器は霊体であるサーヴァントとの相性が悪くサーヴァントへのダメージにマイナスの補正が掛かる。 「弓」 魔法の矢を撃ち出す黒塗りの弓。 銃火器に比べサーヴァントへ与えるダメージが高い。 【人物背景】 とある時間軸で魔法少女だった鹿目まどかに憧れ、そしてその死を否定するべくインキュベーターと契約して魔法少女になった少女。 能力は特定期間内限定の時間停止と、一定期間の時間遡行。 魔法少女となった事で自信がつき、弱気だった性格は明るくなった。 だが魔法少女の契約には裏があり、魔法少女はやがて魔女となって人々に害をなす運命にある。 魔女化によって相転移する感情のエネルギーを回収する、というのがインキュベーターの真の狙いだった。 それに気付いたほむらは時間遡行を繰り返しまどかを魔女化させないように試みたが、何度やっても上手くいかない。 最終的にほむらはもう誰にも頼らないことを決め、人との接触や説明を避ける人物になった。 しかし単独では最強の魔女・ワルプルギスの夜にどうやっても勝利できず、本編の時間軸におけるまどかは「全ての魔女を消す」ことを願いにして契約。 ほむらの時間遡行により集まった因果の力で世界を改変して願いを叶えたまどかだが、その代わりに魔女を消す概念「円環の理」となって消滅した。 世界から魔女は消えたものの、エネルギーを求めるインキュベーターはほむらを魔女にして円環の理の掌握を試みる。 まどか達の力でこの実験は失敗したが、ほむらは円環の理として迎えに来たまどかを『愛』の力で捕獲。 再度世界を改変して鹿目まどかという人間を取り戻した。 神にも等しい存在となっていたまどかを、更に因果律を書き換えることで取り戻したほむら。 だがまどかの存在は不安定で、ふとした切欠で「円環の理」に戻る危うい状態にある。 【サーヴァントとしての願い】 聖杯の力で自らの世界の改変を完全なものにする。 【マスター】 呉島光実@仮面ライダー鎧武 (参戦時期は34話終了後) 【マスターとしての願い】 誰にも、何にも脅かされない絶対の権力を手に入れる。 【weapon】 「戦極ドライバー」 アーマードライダー・龍玄に変身するために必要なベルト。 イニシャライズ機能があり光実以外の人間には使用できない。 「ブドウロックシード」 戦極ドライバーに対応するクラスAのロックシード。 これを使うことで龍玄・ブドウアームズに変身する。 専用アームズはエネルギー弾を発射するブドウ型の銃「ブドウ龍砲」。 「キウイロックシード」 戦極ドライバーに対応するクラスAのロックシード。 これを使うことで龍玄・キウイアームズに変身する。 専用アームズは輪切りのキウイを模した二つの撃輪「キウイ撃輪」。 「ローズアタッカー」 バイク型のロックビークルに変化するロックシード。 速度を上げることでヘルヘイムの森への行き来が可能だが本聖杯戦争では不可能になっている。 「ゲネシスドライバー」 アーマードライダー・斬月真に変身するために必要な次世代型ベルト。 こちらは誰でも使用可能であり、光実はこの性質を悪用して本来の変身者である兄・貴虎になりすましていた。 ちなみにコア部分は取り外し可能で、戦極ドライバーの拡張ユニットとしても利用できる。 「メロンエナジーロックシード」 ゲネシスドライバーに対応するクラスSのロックシード。 これを使うことで斬月真・メロンエナジーアームズに変身する。 斬撃武器としても使用可能な弓矢型の武器「創生弓ソニックアロー」をアームズウェポンの代わりとして扱う。 あらゆる性能が旧世代のアーマードライダーを上回る。 「クレジットカード」 富豪レベルの買い物ができるゴールドカード。 【能力・技能】 アーマードライダーとしての技量は可もなく不可もなくといったところ。 また、明晰な頭脳を持ち大人相手にも弁論で立ち回ることができる。 ただし本人の幼稚な精神性が足を引っ張ることも多々ある。 【人物背景】 沢芽市のダンスチーム「鎧武」に所属する高校生。チームメイトからの愛称は「ミッチ」。 ユグドラシルコーポレーションの重役を父に持つ御曹司でもあり、兄である貴虎からは将来を強く期待されている。 しかし本人はそんな期待を重荷に感じており、兄に秘密で放課後の時間をチーム鎧武で過ごすという二重生活を送っていた。 葛葉紘汰をヒーローとして強く尊敬し、高司舞に異性として憧れを抱いている。 紘汰が斬月(貴虎)に敗北し心を折られたことを切っ掛けにチームを守るためアーマードライダー龍玄に変身し、戦いを始めた。 次々と真実が明かされ状況が変化していく中波風を立たせないようユグドラシル側とビートライダーズ側の二つの立場を使い立ち回る。 しかし次第に紘汰が思い通りに動かなくなり、紘汰に対して苛立ちを覚えはじめる。 そして紘汰が舞を沢芽市で起こっている異変と陰謀に巻き込んだことが原因でついに怒りが爆発。 以降紘汰を邪魔者と見做し命を狙うようになり、戦極凌馬らに裏切られた貴虎も見殺しにした。(ゲネシスドライバーはこの時入手) 一時シドと行動を共にするも彼の死後はオーバーロード・レデュエの右腕に収まる。 しばらくは寝首を掻くことも考えていたが後にオーバーロードの圧倒的な力を見たことで心が折れた。 本聖杯戦争の光実はその時点から参戦している。 能力は高いものの自分の判断を過信し、自己を客観視できないなど精神的には未熟で幼稚な面がある。 【方針】 使える魔力に限りがあるのでサーヴァントと戦闘を行う時は好機を見極めてから。 また状況次第で他のチームに取り入ることも考える。
https://w.atwiki.jp/gotham/pages/50.html
. ――――――知性は特権ではなく、授かり物だ。 ――――――人類の為に使わなければならない。 . ◆◆◆◆ 衆愚の街、ゴッサムシティの夜。 そこには常に変わらぬ空気が流れ続ける。 犯罪と悪徳。栄華と貧困。 混沌の渦巻く街は歪んだ形相を見せながら、普段と変わることなく回り続ける。 日々を這いつくばるように生きる溝のような貧民達が住まうスラム。 貧相な見た目をした老若男女が気力の無い瞳で生活を送っている。 生産的な経済活動は殆ど行われず、貧しさ故の犯罪も横行する悪徳の区画。 恵まれている者は皆思うだろう。 まるで掃き溜めか、豚小屋のようだと。 そんなスラム街の外れに位置する川辺に存在するのは、大きな下水口。 最早貧困すら寄り付かない、辺境の土地と言うべき場所。 下水道に住まうのはそれこそ薄汚いドブネズミくらいのものだ。 「オズコープ社の支援も、研究の為の資金調達も、最早必要無い」 普通ならば人の立ち入るような場所ではない。 しかし、その声は確かに下水道の内部で反響していた。 二つの人影が下水道に存在していたのだ。 ぴちゃり、ぴちゃりと水音混じりの足音が響く。 下水道をゆっくりと歩いているのはサングラスを掛けた科学者風の男だ。 年齢は中年程度、渋い色合いのロングコートを着込んでいる。 その風貌は決して冴えたものではないが、地を這う浮浪者とは余りにも身に纏う雰囲気が違いすぎる。 「奇跡の願望器さえあれば、私の実験は完遂するのだからな」 背中から伸びる『異形』が、男の発した言葉に呼応するかの如く動いた。 金属と機械の音が仄暗い下水道の中で静かに反響を繰り返す。 機械で作られた蛇とも、金属で模した蛸の脚とも捉えられる『異形』は男の背中と直結していた。 男の脊椎と直結し、男の意思で自在に動く。 言うなれば機械仕掛けの触手。 四肢に加えて四本の触手―――――計八本の手足。 人の身でありながら異形の身を持つ。 その姿を目の当たりにした人々は、彼をこう呼ぶだろう。 『蛸の科学者“ドクター・オクトパス”』と。 「無限のエネルギーを生み出す核融合炉……いや、それすらも凌駕する絶対的な成果を出せるだろう」 拳を握りしめ、どこか興奮気味の声色で呟く。 彼の触手は『力』を行使する為の武器ではない。 全ては己の研究を完遂する為の道具でしかないのだ。 彼は核融合炉による無限のエネルギーを作り出すべく、危険物質を取り扱う為の機械を開発した。 それがこの四本の触手、いわば金属製アーム。 何かに取り憑かれているかのようにぶつぶつとオクトパスは言葉を紡ぐ。 そんな彼の意思に賛同するように、四本のアームは蠢く。 否、寧ろ。 聖杯を手に取るという意思に賛同させられているのは―――――――オクトパスの方だろう。 「それがおたくの望みってワケか?」 オクトパスの言葉に耳を傾けていた男が、声を掛ける。 背中にドラム缶のような荷物を背負った屈強な体格の人物だ。 男は何とも言えぬ表情でオクトパスを見ていた。 「そうだ。それが私の夢だ」 「成る程ね。それと、もう一つ聞きたいことがあるんだけど―――」 自らのサーヴァントの問いかけに対し、オクトパスはそう断言する。 長年研究を重ね、しかし失敗に終わった実験の完遂。 無限のエネルギーの創造。 それこそが彼の追い求めている夢であった。 「本当に、あんたの“本心”なんだよな」 サーヴァントから、そんな疑問が投げ掛けられた。 まるでオクトパスの言葉に何か不信感を抱くかのような問い掛けだった。 先程までどこか高揚した様子だったオクトパスの口が止まる。 ―――これが本心なのか? 当たり前だろう。 私は実験を完遂するためにこの戦いに勝ち残ることを望んだのだから。 研究を水泡に返すことこそが罪なのだ。 それこそ奇跡に頼ってでも、私は完成させなければならない。 核融合炉をも超える、究極のエネルギーの創造を成功させなければならないのだ。 そう、数多の屍を踏みにじってでも。 ―――何故、自分はこうまでして執着しているのか? 「そうだ」 オクトパスが返答を口にするまで、僅かな間があった。 まるで一瞬何かの迷いがあったかのように。 彼の態度をサーヴァントは見抜いていた。 しかし今はまだそのことに触れず、ゆっくりと口を開き始めた。 「そうかい……ま、どちらにせよ乗りかかった船だ。 サーヴァントとして召還された以上、俺はドクターのために戦うよ」 己のサーヴァントの言葉に、マスターは何も答えず。 そのまま二人の男は静寂に支配される下水道を進み続ける。 ライダーのサーヴァント―――伊達明。 彼は願いを持たない。 ただ呼ばれたから、それに応じて馳せ参じた。 戦いに来た動機など、その程度のものだった。 伊達は己のマスターにある男の姿を重ねていた。 自分はこういう『科学者』というものに縁があるのだろうか。 その男は己の殻に閉じ籠り、己の為に研究を重ねていた孤独な人間だった。 世界の終末を望む哀しい男だった。 愛想は無かったし、心を開いてくれることも無かった。 最後は暴走する彼を止められず、袖を分かったのだ。 ドクター・オクトパスは彼ほど虚無的ではない。 終末のような無ではなく、有を生み出すべく戦いに臨んでいる。 そんな彼の願いを否定するつもりはない。 サーヴァントとして呼ばれた以上、彼のために戦うつもりである。 しかし。 何か引っ掛かるものがあった。 まるで何かに取り憑かれているような執念。 妄執とも取れる強迫観念じみた理想。 そんな彼の様子に奇妙な疑念を抱いていたのだ。 あれは本当に、『彼』なのだろうか。 (なあ、ドクター。あんたの本心ってのは――――) 最後まで自分の殻に閉じ籠り続けた一人の科学者の姿を想起し、心中で静かに呟く。 願いを叶えるのは結構だ。 だが己のマスターである以上、破滅の道は進んでほしくない。 お人好しのサーヴァントは、マスターの身を静かに案じ続けていた。 【クラス】 ライダー 【真名】 伊達 明@仮面ライダーオーズ 【属性】 秩序・中庸 【ステータス】 通常時 筋力D 耐久E 敏捷D 魔力E 幸運C 宝具D 仮面ライダーバース変身時 筋力B 耐久B 敏捷C+ 魔力E 幸運C 宝具C 【クラス別スキル】 騎乗:D+ 近代以降の乗り物ならばある程度乗りこなせる。 特にバイクの操縦に長ける。 対魔力:-(D) 仮面ライダーバース変身時のみDランク相当の対魔力が発動。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 【保有スキル】 心眼(真):C 卓越した戦闘センスによる洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。 医術:C 医者としての技術を備える。 生前は世界各地で活動を行う医療チームに所属していた。 観察眼:B 物事の本質を捉える才。 特に他者の心の機敏を見抜くことを得意とする。 自己保存:C- 通常の自己保存スキルとは異なり、自身の生存という欲望の為に戦った在り方の具現。 自らが危機に瀕した際、全パラメータに一時的なプラス補正が掛かる。 ただしマスターの危機においては機能しない。 【宝具】 『目覚める欲望、誕生の時(バース・ドライバー)』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- ライダーが装着する変身ベルト。 後述のセルメダルをスロットへ投入し、レバーを回すことで『仮面ライダーバース』に変身する。 バース変身時には全パラメータが強化される他、セルメダルを投入することで後述の宝具『バース・CLAWs』を召還可能。 『出でし武装、欲望の戦士(バース・クロウズ)』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- セルメダルのパワーによって運用されるバース専用の武装「バース・CLAWs」。 仮面ライダーバース変身時、バースドライバーのスロットにメダルを投入することで召還出来る。 武装の種類は以下の通り。 ブレストキャノン 胸部に装備されるキャノン砲。 弾丸状のエネルギーを射出する他、出力を調整することで高火力の砲撃を行える。 キャタピラレッグ 両足に装備されるキャタピラ。 高速滑走を行うことができ、悪路や壁面も難なく移動可能。 キャタピラを纏った蹴りで対象にダメージを与えることも出来る。 ドリルアーム 右手に装備されるドリル状の強力な近接武器。 クレーンアーム 右腕に装備されるワイヤーフック。 ワイヤーは伸縮自在であり、中~遠距離にいる敵の拘束や引き寄せ等を主な用途とする。 ショベルアーム 左腕に装備されるショベル状の武装。 高い出力を誇る近接武器であり、敵の拘束や投擲、打撃に用いられる。 カッターウィング 背中に装備される飛行ブースター。 高速飛行を行える他、翼による斬撃も行える。 『祝福されし欲望、覚醒の日(バース・デイ)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:- CLAWsの全武装を装備したバースの最強形態。 発動中は筋力・耐久・敏捷にプラス補正が掛かり、更にあらゆる攻撃判定が大きく強化される。 重武装による攻撃力・機動力を兼ね備えた強力な形態だが、維持には多大な魔力を必要とする。 【Weapon】 『セルメダル』 仮面ライダーバースとして戦う為に必要不可欠な銀色のメダル。 魔力による生成が可能。 『ライドベンダー』 セルメダルを動力源とするバイク。 本来はカンドロイドを提供する自販機でもあるが、聖杯戦争においてはバイク形態のみが使用可能。 『バースバスター』 セルメダルを装填して使用する銃器。 メダル状のエネルギーを弾丸として射出する。 セルメダルのポッドを銃の上部に装填することで強化砲撃『セルバースト』を発射できる。 【人物背景】 鴻上ファウンデーションに雇われた男性。 豪快で大雑把な性格だが、鋭い観察眼と冷静な判断力も併せ持つ。 真木博士によって開発されたバースドライバーを用い、仮面ライダーバースに変身して戦う。 本職は医師であり、世界中で活動する医療チームに所属していた。 【サーヴァントとしての願い】 特になし。 呼ばれたのでそれに応えたのみ。 【方針】 ドクターの方針に従う。 その一方で彼の本心を知りたい。 【基本戦術】 戦闘においては仮面ライダーバースに変身することが必須。 バース変身時は豊富な武装の恩恵で遠近共にそつなく戦える。 ライドベンダーやキャタピラレッグ、カッターウィングによる機動力も備えている。 様々な状況に対応出来るオールラウンダーだが、その分宝具込みでの燃費は決して軽くない。 格闘戦のみならば然程魔力は喰わないが、能力を最大限活かす為にはやはりCLAWs等の使用が必要不可欠。 そのため無闇なセルメダル消費を避けつつ、状況に応じた的確な武装運用が必要とされる。 なお『CLAWs・サソリ』はサーヴァントとしての制限により使用できず。 【マスター】 ドクター・オクトパス(オットー・オクタビアス)@スパイダーマン2(実写版) 【マスターとしての願い】 核融合炉さえも凌駕する完璧な無限エネルギーを作り出す。 【weapon】 『金属アーム』 四本の伸縮自在の金属アーム。実験中の事故によって外すことが出来なくなっている。 オクタビアスの神経・脊椎と連結しており、彼の意思で自在に操ることが可能。 内部にはアームを制御する人工知能が搭載されているが、前述の事故で制御チップが破損。 暴走した人工知能はオクタビアスの自我を乗っ取り、彼を凶悪なヴィラン「ドクター・オクトパス」へと変貌させた。 【能力・技能】 科学者としての天才的な頭脳。核エネルギーの研究を行っていた。 本人は常人に過ぎないが、驚異的な力と高度な人工知能を持つ金属アームで戦闘をこなせる。 主に四本のアームを駆使した立体機動、アームのパワーを活かした打撃攻撃や拘束、投擲などを行う。 【人物背景】 核融合炉によるエネルギーの研究を行っていた天才物理学者。 元々は善良な人物で、スパイダーマンの正体であるピーター・パーカーとも意気投合していた。 核融合エネルギーを取り扱う為の道具として4本の金属アームを使用している。 しかし公開実験の際に核融合炉の暴走による爆発事故が発生。 妻を喪い、自らも名声を失うばかりか一生アームを取り外せない身体になってしまう。 更に事故によってアームの人工知能が暴走、思考をアームに支配されてしまう。 オクタビアスは狂気に取り憑かれ、実験再開の為に犯罪を犯すヴィラン「ドクター・オクトパス」と化した。 【方針】 聖杯を勝ち取る。その為の手段は選ばない。 【令呪】 原子核とそれを囲う四本の触手を模した形状。 消費は触手左側二本(一画目)→触手右側二本(二画目)→原子核(三画目)。
https://w.atwiki.jp/gotham/pages/68.html
夏枯れの気配は英雄と美姫すらも例外なく捕まえる。 かつては太陽の如き輝きを放った栄光の季節も、やがて日が暮れるように穏やかな色に染まる。 殺して、逃げて、殺して、逃げて。 逃げ切った末に、演劇は終わったはずだった。 なのに、元よりカーテンコールを済ませた演劇なのに。 幕を閉めた演劇は、無遠慮に役者をたたき起こして、再び開かされた。 スカラムーシュは、疲れた瞳で虚空を眺めた。 ――――ここで泣き寝入りしてしまうか? スカラムーシュはニンジャだが、逆に言ってしまえばニンジャであるだけだ。 より強いニンジャは、それこそ、ネオサイタマに降り注ぐ酸性雨の雨粒の数ほども存在する。 目に焼き付いた赤黒のニンジャが、そうだ。 だからといって、これを受け入れろというのだろうか。 因果応報と呼ぶには、あまりにも遅すぎる。 ならば、三度。 三度目の演劇を開いてみせようではないか。 太陽の消え去った宵闇よりもなお昏い街の中を、その暗黒すらも上回る儚さで、人々は表情を絶望に染める。 宇宙殖民など稚気じみた夢。 人々は灰色のメガロシティに棲み、夜な夜な違法事項へ逃避する。 政府を嘲り笑う犯罪者の群れが、社会という人間の性を冒涜する。 ここはゴッサム・シティ。 0と1の空間に浮かび上がった、栄光の奇跡へと至るための昏い暗黒の都市だ。 ◆ 目を開ける。 ここは暗黒都市ゴッサム・シティ。 旧世紀のネオサイタマと呼べるような、未来のない街。 ネオサイタマに比べれば、ゴッサム・シティは電子ネットワークとサイバネ技術などないに等しい。 それでもこの都市は暗黒だ。 それでいい、『ニンジャ』である自分には相応しい舞台だ。 「シューッ……」 四方に『体験』のスピリチュアル・ショドーを飾ったザゼン・ルーム。 その中心でアグラするのは、黒緑色の装束を着たニンジャである。 俯いて動かずにいたその者がゆっくりと顔を上げる。 メンポの奥の双眸には気力が満ち、油断ならぬアトモスフィアが背中から立ち昇った。 道化のコードネームを自らにつけたニンジャは、すぅ、と息を吸った。 イメージするものは、赤黒のニンジャ。 見よう見真似だ、思えば、ニンジャのインストラクションとはそう言ったものだ。 所詮、サンシタに過ぎない自分では盗むものだ。 男、『カイダ』はニンジャだ。 『スカラムーシュ』として暗黒都市ネオサイタマの暗部を住処とし、より深い暗黒に利用されて全てを失った。 聖杯を使って、その全てを取り戻してみせる。 「イヤーッ!」 カラテシャウトを上げて、アグラの体勢から素早く立ち上がる。 バク転をしながら、部屋の中を動き回る。 スリケンが飛び、スカラムーシュが舞う。 常人が見れば、NRS(ニンジャ・リアリティ・ショック)症候群を引き起こすほどの、痛烈なニンジャ証明。 凄まじい勢いのまま動きまわり、スカラムーシュは『ターン!』と強烈な音を立てて扉を開けた。 『おかえりなさい、ボブ。頼んでおいたもの、買ってくれた?』 『それがさぁ、聞いてくれよジェニファー』 『はいはい、今度は何?ペンギンの大群が貴方に頼んだお魚を襲って奪っていったのかしら?』 『正解だよ、海戦大作戦のやつが俺の金を奪っていきやがったんだ』 『もう……』 途端にけたたましい音が響き渡る。 発信源はテレビだ。 テレビが放映され、その内容をテレビの前に陣取った男へと情報を届けている。 男は、英雄だった。 ニンジャでありながら、カラテのワザマエの未熟さ故にサンシタに過ぎないスカラムーシュとは違う。 男は、かつて存在した気象戦隊ウェザースリーの一人、『ウェザーレッド』。 その『ウェザースリー』の解散を経ての独立。 『天体戦士サンレッド』として、日本国神奈川県川崎市溝口を守り続けた偉大なるヒーローだ。 「ふぁぁあ……」 サンレッドは大きな欠伸をこぼし、茶菓子へと手を伸ばした。 太陽を模したマークのついた赤いマスクはつけておるものの、その姿は淡い水色のTシャツと短パンを履いたラフな格好だ。 その姿は休日に自宅でくつろぐ土方の兄ちゃんとなんの違いもない。 違いがあるとすれば、この男、サンレッドは一年三百六十五日の毎日が休日であることぐらいだろうか。 「味っ薄いな、これ、おい……」 わざわざ買わされた御座に横になったまま、流れるポテトチップスを味わいながらテレビを見つめている。 アンテナの感度が悪いのか、どこかモザイクが掛かったようにテレビに雑音が交じる。 マスク越しに、眉をしかめた気がした。 だが、スカラムーシュは、不満気なサンレッドよりもより強く顔をしかめた。 「アーチャー! お前な、俺の、セイシンテキをだな! 俺のカラテを、お前!」 「いいから、カイダ。さっさと煙草買ってこいよ、煙草」 スカラムーシュは己の鍛錬を横にくつろいでいたサンレッドを叱責するが、サンレッドは取り合わない。 それどころか視線も向けず、背後で何かを行っていたスカラムーシュへと、本名であるカイダの名で呼ぶ。 その姿が、スカラムーシュを余計に苛立たさせた。 「カイダはやめろ、俺はスカラムーシュだ! いいか、おい、俺はニンジャだ。 だから、こう、威厳が居るんだよ! アトモスフィアだ!」 「分かったからよぉ……煙草だよ、煙草」 ふぁぁ、と大きく欠伸をして、サンレッドは立ち上がった。 そして、冷蔵庫を開き、缶コーヒーを取り出す。 何気なく目を向けたそのラベルに、しかし、怒りのままに目を見開いた。 「なっ……だからお前! なんで無糖なんだよ! ヤメろっつただろうが! 何度言えばわかるんだよ!」 「腹に入っちまえば同じだろ! 不満なら砂糖でも入れろよ!」 「てっめ、下手に出てりゃ調子に乗りやがって!」 今までの態度は下手に出ていたという強烈な事実を告げられ、頭がクラクラとする。 それでも、それでも必死に考える。 この面倒くさいサーヴァントを使って聖杯戦争を勝利する方法を。 スカラムーシュは考える。 「……アーチャー、それよりお前、早く偵察とか行けよ。 聖杯戦争はもう始まってるんだぞ!」 「偵察……? あー、はいはい、偵察ね。 無理無理、バイクないからよっ。 バイクなきゃ遠出なんて出来ねえだろうが」 「……? なんでないんだよ、ライダーのクラスじゃないからか?」 サンレッドの言葉に、スカラムーシュは目を丸くした。 バイクを所持していない、乗り物はライダークラスでないと持ってこれないのだろうか。 あり得る、英霊の愛機だ。 それだけでクラスという役割を決定させるほどの強烈なものかもしれない。 アーチャーのままでは所持できないのだろう。 「免停くらってんだよ、俺。 いやぁ、参ったわ……不便なもんだな」 免停。 一瞬、スカラムーシュの頭が思考を止めた。 免停。 その言葉を噛みしめるようにして、振り絞るように口を開いた。 「め、免停……関係ないだろ、そんなの…… だって、お前、サーヴァントが法律とか……関係、ないだろ……」 「馬っ鹿かお前、ヒーローが免停でバイク乗っていいわけねえんだろ。 イメージってもんがあるんだよ、イメージってもんが」 「バカハドッチダー!!」 スカラムーシュは容赦の無い罵りの言葉を繰り出す。 慈悲深きブッダでさえも目を背けるほどの汚い言葉。 肩で息をしながら、言葉を続ける。 「サーヴァントに免許もなにもないだろ! 糞、馬鹿にしてるなお前!」 「うっせー!」 ついにキレたサンレッドが硬く握りしめた拳を振りかざした。 スカラムーシュが防御姿勢に移るよりも早く、その拳はスカラムーシュの頭部にぶち当たる。 「あっつい!!」 サンレッドの放った拳がスカラムーシュに直撃し、スカラムーシュは情けなく悲鳴を上げた。 その拳には炎が纏っている。 カトン・ジツだ、それも信じられない程に高位の。 間違いなく、サンレッドはスカラムーシュの数倍、数十倍のカラテを持つ英雄だ。 『弓兵 アーチャー 』のクラスで顕現したサーヴァントは、しかし、一向にスカラムーシュの言葉に従わない。 「令呪は使わない、俺は冷静なんだ……!」 それでも、令呪は使わなかった。 たった三角の絶対命令権。 これを使用すれば、瞬間移動やただでさえ強力なサーヴァントの強化すらも可能となる。 そんなものを、窮地でもないのにただ従わせるためだけに使用するのは愚の骨頂だ。 「くっそ、ムカつくぜ……寝るぞ、おい」 「なっ!」 一発殴ってもなお怒りが収まらないか、サンレッドはふてくされたように茣蓙に転がった。 スカラムーシュは呆気に取られるが、すぐに怒りを再燃させる。 聞くに堪えない罵声をサンレッドの背中へと叩きつけた。 「バカ! ふざけるな! 聖杯戦争を、お前、くそ、おい!」 サンレッドに、スカラムーシュの言葉は届かない。 気むずかしい……いや、我儘なだけのこのサーヴァントの扱いにスカラムーシュは頭を抱えるしかなかった。 ◆ 襲ってきた連中をカラテで殺害する。 突如手に入れたこの超常のニンジャの力。 しかし、それでもカイダは必死だった。 抱える美しい女に襲いかかろうとする銃弾を弾く。 追手を殺して。 追手から逃げて。 追手を殺して。 追手から逃げて。 追手を殺して。 追手から逃げて。 その繰り返しだった。 ニンジャの力に溺れる余裕などなかった。 それでも、その女は完璧な女だった。 命を懸けて守るに値する女だった。 やがて追手から完全に逃げ切った。 しかし、夏枯れの気配だけは英雄と美姫も例外なく捕まえてみせた。 逃げ切った先で、カイダはスカラムーシュという道化のサンシタ、『群衆』へと落ちた。 逃げ切った先で、女は日々のカイダの行動に不満を重ねる口うるさい同棲相手へと変わった。 「……それでも、か」 その光景を、サンレッドは見ていた。 これはスカラムーシュの、カイダの過去。 失った全て。 恋人を失った、どこか情けない男。 サンレッドは、その過去に呼ばれて顔を出した。 「情けないこった……」 それでも、笑うことが出来なかった。 超常の力を持ちながらも必死に銭を稼ぐ男と、不満げながらも男を待つ女。 立場は逆だが、自身と重ならなかったと言えば嘘となる。 「けっ……」 誰かの欲望のために拳を振るうのは、ヒーローとしての誇りがなくなる気はしていた。 それでも、カイダに自分を重ねてしまった瞬間、見捨てることが出来なかった。 荒れていた生前に重ねた因果だと呼ぶには、少し、遅すぎる。 【クラス】 アーチャー 【真名】 サンレッド@天体戦士サンレッド 【パラメーター】 筋力:B+ 耐久:D 敏捷:C+ 魔力:C 幸運:C 宝具:A 【属性】 秩序・中庸 【クラススキル】 単独行動:E- マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクE-ならば、マスターを失っても一時間ほどは現界可能。 生前、恋人に養われていた逸話から最低クラスのスキル適性を持つ。 対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 【保有スキル】 魔力放出(炎):B 武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。 サンレッドの場合、燃え盛る太陽の炎が魔力となって使用、武器であるサンシュートから火炎弾を放つことができる。 変身:C 自らの状態へを変化させるスキル。 通常のバトルスーツの他に、筋力に+補正を得るヒュペリオンフォームと敏捷に+補正を得るプロミネンスフォーム。 そして、究極のバトルスーツであり自身の宝具であるファイアーバードフォーム。 通常のバトルスーツも含めて、合計で四種類のバトルスーツへと変身することができる。 無勤の墮落:A 『労働』という概念について強烈な嫌悪感を覚えてしまうバットスキル。 生前の『生活の一切を恋人に養われることで生活していた』という逸話から生じたもの。 サンレッドが乗り気でない限り、令呪を用いても100%のパフォーマンスを発揮することが出来ない。 【宝具】 『不死鳥は東の空から翔け昇る(ファイアーバードフォーム)』 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1-100 最大捕捉:500人 サンレッドの持つ太陽の力をより強まった状態へと至るためのバトルスーツ。 魔力放出(炎)のスキルランクがワンランクがアップし、また、耐久が2ランクアップする。 生前、使用に対してデメリットは存在しなかったが、サンレッドが強敵であると認めない限り使用しなかった。 今回はマスターの魔力供給も莫大なものとなるため、使用には制限がかかる。 後述の宝具、『天輪燦めく暴虐の赤光(コロナバスター)』はファイアーバードフォームでない限り、使用できない。 『日輪燦めく暴虐の赤光(コロナバスター)』 ランク:A+ 種別:対城宝具 レンジ:1-100 最大捕捉:1000人 太陽の中心核の温度を上回る2千万度の炎の玉を放ち、相手を焼きつくすまで追い続ける。 通常時の兵装である拳銃型の兵装『サンシュート』に換装して使用する。 その威力は絶大なものであり、太陽の炎の力を放出したエネルギー波は大気圏を突き破り宇宙空間へと飛び出すほど。 使用にはマスターからの魔力供給の他にも電力が必要であり、サンシュートに専用の充電器を繋いで充電する必要がある。 【weapon】 『サンシュート』 拳銃型の携帯武器。 戦闘員クラスなら、これだけでイチコロとのことだが紛失している。 最後に見たのは2年ほど前に工具箱に入っていたときらしい。 【サーヴァントとしての願い】 特に無い。 ただ、スカラムーシュに焼きついた同棲相手の死のビジョンというトラウマに嫌悪感を覚えて現れた。 【基本戦術、方針、運用法】 白兵戦に秀でたサーヴァント。 しかし、気分屋であり強制すればスペックが落ちるという扱いづらいサーヴァントでもある。 【マスター】 スカラムーシュ(カイダ)@ニンジャスレイヤー 【マスターとしての願い】 一度目はハッピーエンド。 二度目は遅すぎたインガオホーによるビターエンド。 三度目の舞台演劇は、ハッピーエンドへと変えてみせる。 【weapon】 ニンジャソード 【能力・技能】 『ニンジャソウル憑依者』 太古の世界を支配した半神的存在であるニンジャの魂が憑依。 常人とは比べ物にならない身体能力を誇る。 しかし、カラテ、すなわち技術に限って言えば未熟である。 【方針】 聖杯を手に入れる。
https://w.atwiki.jp/gotham/pages/63.html
華やかなパーティー会場。 少し外に出れば荒んだ通りで物乞いが今日の糧を必死に求めているにもかかわらず、ここには豪勢な食事と華美な衣装の男女が揃っている。 ちょっとした格差社会の縮図。この街でしばしば問題視されるもの。 しかしそれを気に止めるものは殆どいない……少なくとも、今この会場で会話を弾ませる男女の仲には一人もいなかった。 「あら、いらしてたんですか」 「これはどうも、ミス・ブルー。先日の姉君については……」 「日ごろの行いですよ。スズメバチに刺されるなんて。そんなことより、パーティーを楽しみましょう?」 ブルーと呼ばれた女性と、一人の男もそんなこと話題の隅にも上げずに歓談する。 ワインを嗜み、食事も進めて、存分に楽しんでいた。 しばらくして、会場がにわかに騒がしくなったのを疑問に思い、女性がそれを口に出す。 「何か盛り上がっているようだけどゲストでも来たかしら?それとも何か出し物?」 「両方ですかね。日本からゲストとしてアイドルを呼んでるそうですよ。 たしか、なんとか凜っていう」 ふうん、とグラスを傾けながら壇上を眺める。 ティーンエイジの少女が見事な歌と踊りを披露していた。 文化の壁も言葉も壁も超えて、人々を魅せる業は見事というほかない。 曲が終わると自然と皆拍手を送っていた。 拍手にこたえるように壇上を降り、何人かと握手をし始める。 「初めまして、ミス・ブルー。日本の――」 「ミス・凛ですね?見事でしたよ」 「存じ上げてくださったんですか!ありがとうございます」 右手を差し出す少女に応え、シェークハンズ。 いくつか当たり触りのない言葉を交わし、立ち去る少女を見送る。 その後もしばらくパーティーを楽しんでいたが 途端、立ちくらみ。 意識が遠のき、呼吸がままならなくなり、床に倒れる。 「どうされました、ミス・ブルー!?」 「これ……アレルギーか?」 「まさかワイン!?」 「急いで病院に連絡を!」 先ほどとは全く違う、慌てたような騒ぎ。 それを横目にアイドルの少女は一人、貸し与えられた部屋へと戻っていった。 「ふふっ、『赤』、『青』。なかなかいないものね」 そして心底愉しそうに部屋で一人呟く。 が 「相変わらずだな、お前たちは。フェムシンムの民といい勝負だ」 突如現れた民族衣装風の男が語りかける。 それに驚き、身構えて叫ぶ。 「バンザ・ゴラゲパ?」 少女の口から飛び出たのは、人のものとは思えない言葉。 反射的に出てしまったそれに、しまったというような顔をするが、その意味を理解したらしく男も言葉を返す。 「ゴセパ『ウォッチャー』 『ルーラー』ゼロ・『ラ』ゼロパ・ギタザ・ンバンギギャガ」 男…『ウォッチャー』の口からも少女と同じ、人ならざる言葉が紡がれる。 その言葉に落ち着きを取り戻し、人の言葉を語る余裕取り戻す。 「あたしたちの言葉も知ってるんだ」 「ああ、知ってるさ。観客だからな、俺は。お前らのことはよーく知ってる。 ……ところで俺はお前を何と呼べばいい?まさか山野愛美じゃないだろうし、ゲラグかな? それとも自ら名乗った芸名の伽部凛の方がいいか?」 「RIN伽部って呼んでくれると嬉しいかな。 ところで何の用?観客ってことはあたしのファンかな?」 後ろ手で部屋の鍵をかける。 何処から入ってきたのかは知らないが、ただでは帰さない。 にこやかな笑みとは真逆の行動。 「観客として文句を言いに来たのさ。 サイドストーリーばかり進めて、肝心の主題がおざなりになってるのはつまらない。 ゲゲルを同時進行は御法度だろう?今は聖杯戦争の最中なんだ。 あんまりお痛が過ぎると……そうだな、ザルボやゴオマみたいに殺されちまうかもしれんぞ?」 「それは、あなたに?」 剣呑な空気を発し出した男に対して少女――伽部凛も改めて構える。 そして可憐な少女の姿を捨て、醜悪なクラゲ型怪人の姿へと変身する。 そしてさらに、もう一人の演者が舞台に上がる。 「■■■■……」 新たに舞台に姿を現したのもまた、人の言語を扱わぬ狂戦士。 簡素な腰巻だけを身に付け、小さな角を生やした大男。 それを見て観客は何かを思い出したかのように饒舌に語り始める。 「そう、そいつのこともあって来たんだよ。お前そいつの名前知らないだろ? まあ俺も知らないし、そいつの名を知ってる奴は三人しかいないはずだ。 そこでこの俺が名付け親(ゴッドファーザー)になってやろうと思う!」 目の前の出来事がまるでテレビの中の物語で、自分一切被害がないとでもいうように呑気に考え事にふける。 正しくウォッチャー、観客にすぎない振る舞い。 「ああ、安心しろ。アーマードライダーをはじめ、多くの英雄に名を与えてきた存在だ、俺は。 そうだな、『メキシコに吹く熱風!』という意味の『サンタナ』というのは」 どうかな、と口にしようとした瞬間 「■■■■!!」 狂戦士が拳を振るい、襲い掛かる。 その目に宿るのは怒り。 かつて見下された、原始人と蔑む存在に敗れた怒り。 上位と認めた男たち以外の者全てに対する無条件の憎悪。 動物のように名づけられたその言葉を耳にして、その怒りが爆発する。 そうして放たれた拳は部屋の一角を吹き飛ばす。 しかし 「怒らせちまったか」 男は再び天井からぶら下がるように姿を現す。 事ここに至り、この男が空間転移に類する能力を持つのを察する凛。 思わぬ強敵であることを知り……高揚する。 「待て待て、用事は済んだ。 真面目に聖杯戦争の演者(キャスト)をやるなら俺は何の文句もないんだ。 期待してるぜ、怪物ども」 そう言い残して姿を消す。 凛も怪人態から人間の姿に戻り、崩落した壁とサンタナのみが闘争の空気を纏う。 そこへ新たな乱入者。 「なんの騒ぎ…何これ!?何があったのよ凛!?」 「あ、オガたん」 伽部凛のマネージャー、小形。 ザルボがかつて殺したはずの存在だが、この地には別の小形がいた。 彼女は部屋の惨状と、半裸の大男を目にして戦慄する。 パニックを起こしたように逃げないと、何よこれ、とブツブツ呟き凛の手を引こうとするが、力ないそれに抗うまでもなく凛はその場を動かない。 幾度も繰り返すその動作にガマンが利かなくなったか、冷たい目を小川に向け、そして命じる。 「食べていいよ、バーサーカー。欲しいんでしょ」 「凛?何言って――」 瞬間。 ゴキリ、という何かが折れる音が響く。 その後には、伽部凛と、体を大きく膨らませたサンタナ、そして僅かな血痕だけが残されていた。 少女の姿をした怪物は考える。 一度殺した相手をまた殺すなんて初めてだと。 同族と相談することはあっても、二人でゲゲルに挑むなんてことも初めてだと。 「リントを殺すのは楽しいよね、バーサーカー」 人食いのバケモノ、同朋にして同類の存在。 そう思って声をかけるが 「■■■■……」 帰ってきたのは殺意の篭った視線。 自分が今生きているのは、ただマスターだから。 凛を殺せば自分も消える、闘わないのはそれだけだ。 もしもこの世界で二人きりになったなら、こいつとの殺し合いが始まるだろう。 「あっは、サーヴァントかぁ。誇りを失くしたリントよりもただ殺すだけで楽しめそう」 ゲゲルはなにより楽しいからやるものだ。 あのウォッチャーを、バーサーカーを見て、サーヴァントというのには期待できそうだと胸を高鳴らせる。 「部屋は壊れて、マネージャーは行方不明。これなら仕事はしばらくお休みにして……聖杯戦争(ゲリ・ザギバスゲゲル)に打ち込めるかな。 始めよう、バーサーカー。あなたがあたしの『ン』だよ。終わったら、存分に殺し合おうね」 「■■■■…!」 『ン』と呼ばれた瞬間、表情の怒りが強まる。理不尽な怒りを宿す狂戦士。 『ン』と呼んだ少女は、朗らかにほほ笑む。無慈悲で傲慢な女戦士。 人でなしの怪物たちが歩み出す。 【クラス】 バーサーカー 【真名】 サンタナ(と仮に呼ぶ)@ジョジョの奇妙な冒険 【パラメーター】 筋力A 耐久B 敏捷C 魔力E 幸運D 宝具B- (狂化による補正が最大限に働いた場合) 【属性】 混沌・狂 【クラススキル】 狂化:C+ 魔力と幸運を除くステータスを1ランクアップさせている。 柱の男、真祖以外の存在と戦闘を行う場合さらに1ランクアップする。 代わりに言語能力と理性の大半を喪失している。 【保有スキル】 原初の一(偽):E 偽りのアルティメット・ワン、アルティメット・シイングに至る進化の過程。 生まれついての吸血種が宝具による肉体改造で変異したたった4人の柱の闇の一族、その一人。 英霊の座においてもその4人しか持ちえないスキルであり、Eランクでも破格のもの。 本来の原初の一のように星のバックアップは受けられないが、関節を無視した柔軟な動き、卓越した身体能力、肉体の再生、全身の細胞からの捕食、他の生物との一体化など様々な能力を持つ。 とある二つの宝具を用いればこのスキルは最高ランクとなるが彼はそのことを知らされていない。 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 一万年の長きを生き、積み上げた神秘は最高クラスの対魔力となり得るのだが、知『名』度の低さと、狂化によりランクダウンしている。 戦闘続行:B 柱の闇の一族以外の生物に対する蔑みに因る闘争心と特異かつ頑健な肉体。 大ダメージを負おうとも、粉々の肉片になろうとも戦闘が可能。 往生際が悪く、一敗地にまみれようとも生き延びようとする。 肉体保存:A 二千年周期での睡眠や紫外線下での硬質化などの自己保存能力。 マスターを失った場合、体を鉱物と生物の中間存在と化して考えるのをやめ、眠りにつく。 その状態ではAランクの単独行動スキルを獲得し、原初の一(偽)と対魔力以外の全てのスキル・宝具を封印して魔力消費を抑える。 近づいた生き物やNPCは食事とし、未契約のマスターが通りかかった場合無理矢理にパスをつないで再契約する。 柱の男の中で最も弱いが故に持つ、生き延びるための技能。 【宝具】 『偽・輝彩滑刀の流法~露骨な肋骨~(リブス・ブレード)』 ランク:B- 種別:対人宝具 レンジ:2 最大捕捉:2人 スキル:原初の一(偽)による卓越した肉体操作の極みの一つ。 肋骨を硬質化させて露出し、周囲に刃として振るう。 エッジなどはついておらず、防御はさほど難しくない。 炎が昇れば熱風が吹き、大気が歪めば陽炎が光を曲げる。 熱風の如く、光の如く、速く鋭い刃。 これは光の模倣。 『偽・怪焔王の流法~鏡像の虚像~(イノセンス・サンタナ)』 ランク:B- 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:自身 柱の闇の一族の中で彼は最も幼く無垢で、その分卓越した学習能力を誇る。 視認したスキル、ものによっては宝具を習得する。 変幻自在の肉体であるため体質の変更も容易であり、習得範囲は広範。 ただしバーサーカーとして現界したため、勇猛などの精神性、高速詠唱などの知性を必要とするものは獲得しても意味をなさない。 騎乗や心眼(偽)など本能的に扱える技術、魔眼や怪力などの体質、他特殊な宝具を習得できれば強力なサーヴァントとなるだろう。 なおこの宝具の発動自体に魔力消費はないが、スキルや宝具を獲得するごとにそれに応じて現界に消費する魔力は多くなっていく。 炎が昇れば熱風が吹き、大気が歪めば陽炎が光を曲げる。 熱風の如く無形であるが故、陽炎の如く真似し学ぶ。 これは炎の模倣。 『偽・風の流法~知る人ぞ知る~(ノーバディ・ノウズ)』 ランク:C- 種別:対軍宝具 レンジ:0~99 最大捕捉:上限なし サンタナとは人間の付けた呼び名であり、彼の一族での本名、つまりは本当の真名を知る人間はいない。 その生態も得体も知らず、故に人は彼を調べようとしたが、柱の闇の一族の脅威くらいしか情報は得られなかった。 宝具・スキルによる真名看破を無効にする。 また真名を知られていない者に対してスキル・ステータス・魔力を秘匿する。あくまで魔力を感知できないだけで気配遮断ではない。 さらに彼をサンタナ、など渾名で呼んだ場合、魔力の秘匿は解けるが狂化のランクが一時的に1ランク上昇する。 ただし彼の真名を知る者に対しては、その効果がないどころか『偽・怪焔王の流法~鏡像の虚像~(イノセンス・サンタナ)』による模倣ができない。 炎が昇れば熱風が吹き、大気が歪めば陽炎が光を曲げる。 熱風の如く、大気の如く、掴みどころなく、荒れ狂う。 これは風の模倣。 【weapon】 なし。 【人物背景】 はるか昔、地球に出現した太陽光に当たると消滅してしまう生き物の一族、その一人。 その一族の多くは穏やかに過ごしていたが、突如生まれた一人の天才がより強い力を求めたため争いが起き、その天才と協力者一人、何も知らぬ赤子二人を残して一族は滅んだ。 その赤子がサンタナであり、その四人が石仮面をかぶり、原初の一(偽)となった柱の闇の一族である。 柱の闇の一族は多くの動物を殺し喰らわなければ生きられないため当然戦争が起こり、宿敵として波紋使いの一族とは幾度も争った。 しかしサンタナは四人の中でも落ちこぼれたのか、石仮面と共に他の三人とは別のところで眠りについていた。 固有の流法を持たず、戦闘で劣るために波紋の一族との闘争が予期されるローマに連れていくのを避けたのだろうか。 番犬のようなもの、と柱の一族の長には言われていたので、石仮面を守るために残されたのかもしれない。 その名も、来歴も、信条も他の柱の闇の一族に比べて謎の多い存在。 SPW財団に紫外線を浴びせられていたが、その後波紋使いの手で処分された歴史からの召喚である。 【サーヴァントの願い】 ただ怒りをぶつけ、殺し尽くすのみ。 【マスター】 伽部凜(ゲラグ)@仮面ライダークウガ(小説) 【マスターとしての願い】 聖杯戦争(ゲゲル)を楽しむ。 【weapon】 ゲドルード グロンギの装着するベルトで、中央にクウガの霊石アマダムと同質の魔石ゲブロンが埋め込まれている。 所有者に怪人態への変身能力を与える。また電撃を吸収してパワーアップする特性がある。 クウガの必殺技で封印エネルギーを流し込まれると自爆装置が作動し、所有者と共に大爆発を起こすため、近似するエネルギーを流された場合大爆発する危険がある。 魔力炉としても機能しており、サーヴァント維持の大きな助けとなっている。 ただしバーサーカーを駆る消耗は激しく、バーサーカーの戦闘と自身の戦闘を同時に行うのはほぼ不可能。 【能力・技能】 前述のベルトによりクラゲ型怪人に変身する。 怪人態では手の先などから触手を伸ばす事ができ、その先に付いた毒針で対象者を刺してクラゲ毒を注入する。 このクラゲ毒は分子構造的に不安定な構造をした特殊なものであり、この毒が体内に入れば人間の持つ免疫グロブリンと結び付きいてアレルギー物質に変化し、アナフィラキシーショックで対象者を殺すことが可能。 またこの毒は水道水に含まれる硫酸アルミニウムと結び付くと、皮膚に付着しただけでアナフィラキシーショックを引き起こし死に至る猛毒セシドヒルビリンに変化するという恐ろしい特性を持っている。 そのほか、触手の先からプラズマを発生させる能力を有しており、劇中ではプラズマから発生される衝撃波で硬い天井を粉砕している。 なおグロンギ族は古代の戦闘民族で、ゲブロンも古代に宇宙より飛来した隕石を基にした現存する宝具であるため、積み重ねた歴史・神秘はなかなか。 怪人態なら一応サーヴァントへ干渉できる……が、勝てるかは別問題。 魔力の全てをバーサーカーに回した方が効率は良いが、彼女にとって闘争・殺戮は娯楽であるため、自身が前に出ることも多いだろう。 【人物背景】 未確認生命体四十八号。 超古代においてクウガ・プロトタイプにより封印されていたが、ン・ダグバ・ゼバの絶命後にラ・バルバ・デにより復活。 自分たちより先に活動していたメンバーがゲゲルに相次いで失敗し壊滅したことを教訓に、リント(=現代日本人)の社会にひっそりと潜伏し、彼らの社会構造を学習して完全に溶け込む。 人間の持つ心の闇を巧みに利用して着々とゲゲルの下準備に取り掛かっていた。 人間社会では「山野愛美」という少女に成り済まし、老若男女に絶大な人気を誇るアイドル歌手「伽部凛」として活動していた。 物語の始まる2年前には『1万人のメイド宣言』なるものを掲げ一躍有名になっているが、これもゲゲルの準備の一環であった。 誰にでも優しく語り掛け、笑顔を振りまく心優しい娘を演じているが、その裏では素性の知れない自分をお金になるからというだけで簡単に受け入れてくれた事務所の社長やマネージャーたちをあざ笑いながら利用し続けていた。 陰湿かつ残忍な性格の持ち主で、本当の山野愛美の母親を利用し、愛美を母に殺させて成り変わっていた。 決して自身の正体を掴ませない様に細心の注意を払っており、潜伏先やアイドル事務所の関係者を上手く利用し、周りの人間やファンたちを欺き続けていた。 彼女の正体に気き、ゲゲルのルールを見抜いた一条や夏目実加に自身の凶行について肉薄されても余裕の態度を崩さず、逆にワザと挑発めいた態度を見せる傲慢な面も。 ライブの直前には警察から自身を庇っていたマネージャーの小川を殺害、会場に潜入していた実加に景気づけとして正体を明かし、触手で絞殺しようとする。 しかし実加がクウガ・プロトタイプに変身した事に驚愕して拘束を解いてしまい、戦闘。 その戦闘で封印エネルギーを注がれ爆死したと思われたが、ファンから差し入れにあったシャブティにより参戦。 芸名の伽部凛(トギベリン)はリント・ギべのアナグラム。グロンギの言葉で「人間は死ね」という意味。 階級は不明であるが、多彩な能力及びゲゲルの規模からゴ集団に所属し、フルネームはゴ・ゲラグ・ギではないかと推測される。 また、メ集団に所属するメ・ゲグラ・ギとは何らかの関係があるものと思われる。 【方針】 主従共々人間を殺すことを目的とする。 聖杯には今のところ特に興味はない。
https://w.atwiki.jp/gotham/pages/112.html
【クラス】 キャスター 【真名】 メディア@Fate/stay night 【ステータス】 筋力 E 耐久 D 敏捷 C 魔力 A+ 幸運 B 宝具C 【クラス別スキル】 陣地作成:A…魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。”工房”を上回る”神殿”を形成する事が可能。 道具作成:A…魔力を帯びた器具を作成できる。擬似的ながらも不死の薬さえ作り上げられる。 【保有スキル】 高速神言:A…呪文・魔術回路との接続をせずとも魔術を発動させられる。大魔術であろうとも一工程で起動させられる。 金羊の皮:EX…とっても高価。竜を召還できるとされるが、キャスターには幻獣召還能力はないので使用不能。 【宝具】 「破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)」 ランク:C 種別:対魔術宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 メディアの「裏切りの魔女」としての伝説が象徴として具現化した宝具。 攻撃力は普通のナイフと同程度しかないが、「あらゆる魔術を初期化する」という特性を持つ最強の対魔術宝具である。 原作ではマスターとサーヴァント間の契約を断ち切るなどの用法で用いられた。 しかし、どれほど低いランクであっても宝具の初期化は出来ない。 【サーヴァントとしての願い】 受肉し、故郷へ帰る。
https://w.atwiki.jp/gotham/pages/127.html
【マスター】 ミュカレ@アカツキ電光戦記 【マスターとしての願い】 教団の悲願成就。 全人類の『救済』。肉体を排する霊的救済。 【weapon】 元帥杖 第三帝国の元帥杖。鈍器として使えなくもない。 【能力・技能】 魔術 魔女として、魔術を高水準で習得している。 主にあらゆる武器、獣の召喚術を得意とする。 また、魔力も魔女であるからか多い。 転生の法 真理を知る者「完全者」が会得できるといわれる秘蹟。 擬似的な不老不死で、転生して完全者は現代へ生き永らえた。 たとえ肉体が消滅しても別の肉体が存在する限り、 他人の身体に魂を移し変え、精神を乗っ取って復活することができる。 聖杯からの制限により、サーヴァントと、『契約しているマスター』を乗っ取ることはできない。 令呪・魔力供給パスは転生先へ同時に受け継がれる。 【人物背景】 異端「ペルフェクティ教団」の教祖にして、秘密結社ゲゼルシャフトの元帥。 「完全者」とは先の教団において、その尋常ならざる教義を会得し真理に到達した者を意味する。 「完全者」は真理を得た事で死を超越し、肉体が消滅しても別人の体を乗っ取り転生する事が出来るとされた。 そして彼女もまた、中世に異端者として火刑に処せられた、農夫の娘・ミュカレが「完全者」として蘇った存在であり、 その後現代に至るまで数百年の月日を転生を繰り返し人々から「魔女」と恐れられながらも、 教団の悲願成就の為歴史の節目で暗躍していく事となる。 現在はムラクモらによって前の肉体を殺されたため、上海の貿易公司に勤めるドイツ人夫妻の娘・カティに転生している。 【方針】 聖杯狙い
https://w.atwiki.jp/gotham/pages/34.html
「主任、この書類の決済をお願いします」 「ああ…」 ユグドラシルコーポレーション・ゴッサム支社。 日本人や日系人を中心とした社員たちが忙しなく仕事に追われる中、主任と呼ばれた男・呉島貴虎はどこか釈然としない思いを抱いていた。 何度社内を見てもいつもと変わらぬ平和な光景が広がるばかり。 ゴッサムシティの治安は最悪だがユグドラシルなど一部の大手企業は金にものを言わせた強固なセキュリティ体制を敷いている。 そのためこの周辺のオフィス街に限ればそう滅多に犯罪の手が伸びることはない。 それにしてもこの会社、いやこの部署はここまでのんびりとした空気だっただろうか? いや、むしろもっと重大な、根本的なことを忘れているような……? だがそれが何なのかわからぬまま、ただ時間だけが過ぎていった。 仕事を早めに切り上げ退社した貴虎は悶々とした違和感を感じながらも車を停めてある駐車場へと歩を進めていた。 違和感を払拭しようとこれまでの日常を思い返してみたが余計に違和感が募るばかりで、それどころか軽く頭痛がしてきた。 何かが、あるいは何もかもが決定的に間違っている。 何故かは自分でもわからないが、心が強くそう訴えかけていた。 「おや?主任様じゃねえか。お早いお帰りのようで」 「………シド?」 声を掛けてきたのは営業担当の、シドと呼ばれる男だった。 確か地元の若者層をターゲットにした取引のためそれらしい格好で仕事をしている社員だったはずだ。 いや、違う。ありとあらゆる意味でこの男がここにいるのは絶対的に間違っている―――! 「お前が、何故生きている…!?お前はロシュオに……」 「はあ?」 無意識に疑問を絞り出した瞬間、全てを思い出した。 プロジェクトアーク成就のために奔走していた本当の日々。 葛葉紘汰と遠回りの末友好関係を築けたあの瞬間。 戦極ら部下の裏切りによって結果的にオーバーロードの王と出会ったこと。 オーバーロードの真実、圧倒的な力、蹂躙された沢芽市とユグドラシル。 そして、オーバーロードに隷属する道を選んだ弟・光実。 不審がるシドに目もくれず車に飛び乗り、自宅を目指して走り出した。 街が破壊されていない。インベスもいない。そもそも沢芽市ですらない……! 知らない街であるはずなのにまるでずっとここに住んでいたように道順を思い出せる。 このゴッサムシティの全体像がまるで沢芽市に似せて作られたかのように似ていることも関係しているのだろうか。 知らない間に脳を弄られたかのようで吐き気がするが、それを堪えて武器を取り戻すためひたすらに自宅を目指した。 「ここだけは、沢芽市と同じか」 この偽りの時間を過ごした呉島邸だけは寸分違わず沢芽市にあったものと同じだった。 といってもゴッサムシティの治安の悪さを考慮してセキュリティはより強化されているのだが今は些末なことだ。 平時からは考えられないほど大急ぎで、乱暴にドアを開けると一目散に自室へ向かった。 目的はスーツケースに保管していた貴虎の身を守る最大の装備だ。 「意味もなく捨てずに保管していたのは、こういうことだったのか…?」 ゲネシスドライバーを失った今、懐かしさすら覚える貴虎が愛用していた戦極ドライバーとメロンロックシード。 記憶を失っていても、身体がそれを大切なものだと覚えていたのかもしれない。 「どうやら記憶を取り戻されたようですね、マスター」 女の声に振り向くと、何もないところからローブを深く被った女性が現れた。 知識として刷り込まれている。聖杯戦争、万能の願望器を巡る殺し合い。 そしてこの女性こそ呉島貴虎に割り振られた戦闘代行者、サーヴァントだ。 その証拠に、令呪と呼ばれる紋様が自分の右腕の甲に刻まれていた。 確か参加するにはシャブティが必要だというルールだったが、貴虎には心当たりがあった。 子供の頃自分以上に厳格な父親が海外から一時帰ってきた時に土産としてくれたシャブティの像だ。 それが自分を聖杯戦争に導いたというのは運命のようなものを感じずにはいられない。 「ああ、そのようだ。君が私のサーヴァントのようだな」 「ええ、この身はキャスターのサーヴァント。真名はメディア。 マスターのお名前を伺っても?」 キャスターは素直に自分の真名を明かした。 隠したところで疑り深いマスターなら令呪を使ってでも口を割らせるだろうと考えたからだ。 不本意だが少なくとも「ある程度は」付き合う相手ならそのぐらいの情報は明かさねばなるまい。 「呉島貴虎だ。それと、悪いがそのフードを取ってもらおうか。 君の生きた時代がどうだったかは知らないが、現代社会で素顔を見せない者を信用するわけにはいかんな」 「…………」 貴虎の物言いはあくまで現代日本を基準とした、礼儀を咎めたものだったが、言い換えればそれだけだった。 少なくとも素顔を確かめてどうこうする、という下心は一切なく、キャスターもそれは見抜いていた。 「……これでよろしいですか?」 ローブを取ったキャスターの素顔に貴虎は一瞬だが言葉を失った。 この世のものとは思えない美貌、それでいて品の無さというものを全く感じさせなかった。 人間では有り得ないほど尖った耳もそうであることが自然だと思わされる。 しかしすぐに見とれている場合ではないと気を取り直した。 「ああ、もう良い。早速だが書斎に来てくれ。 方針についての打ち合わせをしておきたい」 「つまり、当分は陣地と魔力源の確保、情報収集に専念するよりないということか」 「はい、ただでさえも私は三騎士には相性が悪いので、慎重に動かざるを得ません」 「そうだな。それに伝承から考えて、君は戦う者ではないだろう? つまり、策もなく歴戦の戦士と事を構えるのは自殺行為でしかない。私も自分がヘラクレスやジークフリードと戦えると思うほど自惚れてはいない」 現在の貴虎とキャスターの戦力は決して心強いものとは言えない。 元よりキャスターは魔術の腕はともかく戦闘代行者としての実力は低く、貴虎も戦極ドライバーがあるとはいえ無策でサーヴァントに挑むのは無理がある。 せめてゲネシスドライバーがあればもう少しはマシなのだろうが無いものねだりをしてどうにかなるなら苦労はない。 加えて、キャスターの見立てでは貴虎のマスターとしての適性は低く、十分な魔力を提供できないとのことだった。 魔術師のサーヴァントが魔力不足とあっては笑い話にすらならない。 となれば、余所から不足分を補うのは魔術師としては当然すぎるほど当然の発想。 「ですから、NPCから魂喰いを行う許可を頂きたいのです」 「それは構わない。私も手段についてどうこう言える人間ではない。 だが大量殺戮は問題だろう。何か考えはあるのか?」 「殺戮が問題ならば、殺さぬ程度に魔力を吸い上げれば良いのです。 それならば誰にも文句はつけられないでしょう」 「なるほどな、しかし意識を失わせたり、騒ぎになるような真似はするな。 大丈夫とは思うが、マスコミのしつこさと影響力を軽視するのは危険だ。 それに、万が一高潔な参加者に事が露見すれば損得勘定抜きで未知のアームズを使いロックビークルに乗って突撃してくることも無いとはいえないからな」 貴虎自身元の世界ではマスメディアを使った戦略を指揮する立場にあったため、その影響力と危険さを熟知していた。 例えば集団が突然倒れたなどのニュースが流れればそこからサーヴァントの仕業と推測されてしまう可能性もある。 葛葉紘汰のようなマスターないしサーヴァントがいれば、当然怒りを買うだろう。 序盤からそのような事態になることは絶対に避けなければならない。 「……わかりました。では、軽度の疲労を覚える程度に留めましょう」 「ああ、それで頼む。それからサーヴァントには宝具というものがあるのだろう? 君の宝具はどういったものなんだ?」 宝具とはサーヴァントの半身と呼んでもいい。 その性能を知ろうとするのは聖杯を求めるマスターとして当然のことであり、キャスターもこの質問は予期していた。 キャスターは弱りきった風を装い誤魔化すことにした。通じるかどうかは五分五分というところだろうが。 「そのことなのですが……マスターは魔術師ではないため、抗魔力が低いのです。 そして、私と同じようにキャスターのクラスで現界したサーヴァントなら魔術で貴方の精神を読み取ることは容易い。 つまり、そこから私の宝具が漏れ、対策されてしまう可能性が高いのです。申し訳ありませんが……」 「教えなければ対策されることもない、というわけか。確かに道理だな。 わかった、宝具を使うタイミングは君に一任する。魔術に関して門外漢の私などよりよほど適切に使えるだろう」 ちょろすぎる。キャスターはこのマスターの扱いやすさに感謝した。 「君を裏切りの魔女などと言う文献もあるようだが、私はそのような風聞を何も考えず真に受けるほど愚かではないつもりだ。 そもそも、メディアに裏切りを働かせたのはイアソンを支持するアフロディーテの謀略だろう。 私も君も聖杯を求めてここへ足を踏み入れた。利害が一致しているのなら何も問題はあるまい。 部屋を用意させておこう、休息する時にでも使ってくれ。私は少し夜風に当たってくる」 話を切り上げると貴虎は無防備に背中を晒しながら外へと出て行った。 キャスターの指にかかればその背中に風穴を開けることがどれだけ容易か理解しているのだろうか? (ふん、馬鹿な男……) キャスターは基本的に顔立ちの整った男を信用しない。いやできないと言っていい。 それにあの迂闊さだ、あれではいずれ他の者に陥れられて脱落するのが目に見えている。 このため、キャスターは最初からマスターの乗り換えを視野に入れていた。 しかし貴虎の財力やコネは使いどころが大いにある。 それにこちらの言う事をあっさり信じる分、操縦も容易。 今はせいぜいサポートしてやろう、と魔女は一人ほくそ笑んだ。 「葛葉、お前は俺のやり方を許さないだろうな……」 今も沢芽市で人々を助けるために戦っているだろうあの男なら人殺しには決して賛同しないだろう。 勿論貴虎とて好き好んで殺人をしたいわけではない。だがもう他に方法が全く無いのだ。 「無理なんだ、葛葉。お前がいくら強くなったところでオーバーロードには、ロシュオには絶対に勝てないんだ」 戦略ミサイルすら消し去り、ゲネシスライダーを赤子のように葬り去るオーバーロードの王に人類が対抗する術など存在しない。 それこそサーヴァントを引き連れて立ち向かったところで跡形もなく消し飛ばされるのがオチだ。 さらにオーバーロードが開いたクラックによってヘルヘイム浸食のタイムリミットは年単位で縮まってしまったことだろう。 聖杯を手に入れなければ、遠からず人類は全滅してしまう。それを防ぐためならばもはや手段を選んではいられない。 「ヘルヘイム、それにオーバーロードさえ消し去ることができれば……光実、お前ともまたやり直せるだろうか」 光実が道を誤ってしまった理由には少なからずヘルヘイムの森の真実が関わっていることには貴虎も気づいていた。 逆に言えば、森の脅威と光実が当てにしているオーバーロードが取り除かれれば弟と敵対する理由もなくなる。 簡単には拗れた兄弟仲を修復することはできないだろう。あるいは光実は一生貴虎を許さないのかもしれない。 それでも、光実が人類の敵でなくなってくれさえすればもうそれで良かった。 「失敗は許されない、必ず、どんなことをしてもこの手に聖杯を……」 呉島貴虎は気づかない。 裏切りのクラスたるキャスターが実際に叛意を抱いていても、気づけない。 何故なら、貴虎の本質は性善説に基づいている。 日頃口で何と言っていようと、本心では誰も理由なく悪に手を染めるはずがないと思っている。 だから何度騙されても人を疑いきることができない。そして何度でも裏切られる。 部下や同僚からも。実の弟からも。そして、契約したサーヴァントからも。 その善性を嘲笑われていることに、気づかない。 【クラス】 キャスター 【真名】 メディア@Fate/stay night 【ステータス】 筋力 E 耐久 D 敏捷 C 魔力 A+ 幸運 B 宝具C 【クラス別スキル】 陣地作成:A…魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。”工房”を上回る”神殿”を形成する事が可能。 道具作成:A…魔力を帯びた器具を作成できる。擬似的ながらも不死の薬さえ作り上げられる。 【保有スキル】 高速神言:A…呪文・魔術回路との接続をせずとも魔術を発動させられる。大魔術であろうとも一工程で起動させられる。 金羊の皮:EX…とっても高価。竜を召還できるとされるが、キャスターには幻獣召還能力はないので使用不能。 【宝具】 「破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)」 ランク:C 種別:対魔術宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 メディアの「裏切りの魔女」としての伝説が象徴として具現化した宝具。 攻撃力は普通のナイフと同程度しかないが、「あらゆる魔術を初期化する」という特性を持つ最強の対魔術宝具である。 原作ではマスターとサーヴァント間の契約を断ち切るなどの用法で用いられた。 しかし、どれほど低いランクであっても宝具の初期化は出来ない。 【サーヴァントとしての願い】 受肉し、故郷へ帰る。 【マスター】 呉島貴虎@仮面ライダー鎧武 【マスターとしての願い】 オーバーロードとヘルヘイムから人類を救い、光実との兄弟関係をもう一度やり直す 【weapon】 戦極ドライバー:アーマードライダーに変身するためのベルト。 イニシャライズ機能があり貴虎以外の人間は着けることさえできない。 メロンロックシード:クラスAのロックシード。戦極ドライバーに嵌め込んで使うことによってメロンアームズへ変身できる。 専用アームズは近接・投擲武器としても使用できる大盾・メロンディフェンダー。 仮面ライダー斬月・メロンアームズ:貴虎が戦極ドライバーとロックシードを使い変身した姿。 システムの補助により視覚や聴覚、運動能力などが大幅に増大する。 前述のメロンディフェンダーと銃剣・無双セイバーを駆使した白兵戦を得意とする。 ただし科学兵器であるためそのままでは霊体であるサーヴァントにダメージを与えることはできない。 【能力・技能】 生身で新世代アーマードライダーの攻撃を受け止めるなど、並外れた頑強さと生命力を持つ。 また、アーマードライダーとしての力量自体も原作に登場する誰よりも高く、ロックシードの性能差をも覆す。 【所持金】 大富豪 【方針】 何をするにも神殿を形成し、魔力を集めなくては何もできないため序盤は雌伏し情報を集める。 場合によっては斬月の仮面で正体を隠して敵マスターを襲撃することも視野に入れる。